江の島の植物・ボケ
ボケはバラ科ボケ属の落葉低木で、雌雄同株。原産は中国で、日本には古く平安時代に渡来したとされています
ボケはバラ科ボケ属の落葉低木で、雌雄同株。原産は中国で、日本には古く平安時代に渡来したとされています
江の島の植物・ボケ
2023年03月17日 写真&文:坪倉 兌雄
ボケ(木瓜)Chaenomeles speciosaはバラ科ボケ属の落葉低木で、雌雄同株。原産は中国で、日本には古く平安時代に渡来したとされています。とくに昭和に入ってから品種改良が盛んにおこなわれ、赤や白の花を開く多くの品種が作り出されてきました。地下茎は、日本原産のクサボケのように、下部の枝が地面を這って根をはることはありません。樹形は株立状になり、高さは1~2㍍に、よく分枝して小枝は刺状になります。樹皮は灰褐色~暗褐色。葉は互生し、葉身は楕円形~長楕円形で長さ4~8㌢、幅2~5㌢でふちに鋸歯があります。葉の表面にはやや光沢があり、葉の先端は尖ります。開花は11~4月で、葉が展開する前に、直径2~3㌢の赤や白などの花が咲きます。花には雌性花(両性花)と雄性花(雄花のみ)があります。雌しべの基部には子房がありやや太く、柱頭は5裂します。雄しべは多数あります。
江の島では春咲き(3~5月)、秋咲(11~1月)のボケの花をサムエル・コッキング苑でも見ることができます。萼筒の基部は雌花で大きく、雄花でやや小さくなります。萼裂片は5個で長さ約5㍉、縁に短毛があります。花弁は5個で花径は2~3㌢、白・赤・桃色など、変化に富んだ花が枝のわきに数輪ずつ咲きます。果実はナシ状果で球形~楕円形、長さ約8~10㌢、7~8月に黄色に熟します。ボケには多くの園芸種があり、庭木や鉢植え、盆栽や花材などに用いられています。果実は硬くて生食には向きませんが、砂糖煮や果実酒などに用いることはできます。和名は果実が瓜に似ていることから「木瓜(もけ)」と呼ばれ、これが訛ってボケになったとされています。仲間のクサボケは、日本原産の落葉低木で樹高は約1㍍になります。本州(関東地方以西)、四国、九州に分布し、日当たりのよい山野に自生し、幹は基部からよく枝分かれして、下部の枝は地面を這い、地下茎になることもあります。名前の由来は「仲間のボケ(木瓜)に似るが、それよりも小さくて草に似ることから」とされています。参考文献、日本の樹木、山と渓谷社。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2023年03月17日