続・湘南のお地蔵さま 早苗地蔵横浜市営地下鉄「仲町台駅」よりバスに乗り観音前で下車。少し先石段の上にお堂があり二体の早苗地蔵が祀られる。
続・湘南のお地蔵さま『早苗地蔵』
続・湘南のお地蔵さま
『早苗地蔵』
2023年6月9日 (江ノ電沿線新聞)
続・湘南のお地蔵さま(78)
『早苗地蔵』 中島淳一
横浜市 折本町
『早苗地蔵』 中島淳一
横浜市 折本町
横浜市営地下鉄「仲町台駅」よりバスに乗り観音前で下車。少し先を左折して橋を渡り左斜め前の細い急坂を登ると、右側石段の上にお堂があり二体の早苗地蔵が祀られる。両像とも右手に錫杖左手に宝珠を持ち、左の像は丸彫りで蓮華座に乗り、右の像は舟形光背を伴い端正な顔立ちである。お堂横には建立由来の石碑も立つ。このお地蔵さまには次のような伝説が伝わる。室町時代の終り頃この村は稲作中心の農村だったが、水の確保が難しく村人は困り果てていた。それを見た近くに住む僧、了信とその娘が新たな用水路を掘り始めた。最初は誰からも理解されなかったが、徐々に協力者も増え数年後に完成した。しかし了信と娘は完成を見ずに事故で亡くなった。江戸時代になり村人は二人の恩徳を偲びお地蔵さまを造立し、その尊前に豊作を祈りつつ稲の若苗を手向けたので早苗地蔵の名がついたという。今は子育て地蔵として信仰されている。現在この地区は北欧生まれの巨大な家具店や高層の集合住宅が立ち並ぶ新しい街だが、一歩横道に入ると懐かしい農村の風景が残り、時間が止まったようである。耳を澄ますと何処からか了信と娘の二人が土を掘る鍬の音が聞こえてきそうなそんな地蔵の里である。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2023年6月8日