藤澤浮世絵館で「蔦屋版東海道と追分道の文化 広重<視角>の追求 「橋、渡し、追分」」が開催されています。藤澤浮世絵館展示「蔦屋版東海道と追分道の文化
広重<視角>の追求 「橋、渡し、追分」」
歌川広重は、有名な「東海道五拾三次之内(通称:保永堂版東海道)」をはじめとして二十種類以上の東海道シリーズを描いていますが、その<視角>は各シリーズで異なっています。今般展示されている「東海道五十三次之内(通称:蔦屋版東海道)」は、宿場そのものではなく、宿場と宿場の間にある休憩所である立場や橋、水上交通である渡しなど、宿場をとりまく施設や場所が他のシリーズよりも多く描かれているという特徴があります。
「東海道五十三次之内(通称:蔦屋版東海道)」53点を含む61点の広重作品が全館で展示されています。 <視角>とはある場所の景観の特徴を捉える広重の着眼点、つまり「どんな対象を、どの角度から、どのように表現するか?」ということです。東海道を題材とした浮世絵作品の多様な表現にもつながり、鑑賞者を飽きさせないための広重のこだわりがあると言えます。
その具体例として、戸塚と藤沢を題材とした作品を紹介します。「東海道 六五十三次之内 戸塚」と「東海道 七 五十三次之内 藤沢四ツ谷の立場」です。
右の戸塚を題材とした作品では、藤沢から大坂を通って戸塚宿へ向かう様子が、また左の藤沢を題材とした作品では、四ツ谷の立場を主題に描かれています。※画像が小さいので詳しくは藤澤浮世絵館の公式ホームページの展示作品解説06,07をご覧ください。
藤沢宿コーナーには歌川広重作「東海道遊歴双六」が展示されています。
企画展示コーナーには、中央部に二代歌川広重や三代歌川広重の東海道の大橋を描いた作品が展示されています。歌川広重(初代)の大橋を描いた作品とも見比べながら鑑賞できるという趣向です。
江の島コーナーの中央には、葛飾北斎の「冨嶽三十六景 相州江の島」が展示されていますが、この復刻版が藤沢市のふるさと納税お礼品として登場しています。20シリーズ以上もの東海道の揃物(そろいもの)を世に出した歌川広重の人気の秘密は、この「鑑賞者を飽きさせない多様な<視角>へのこだわり」にあると言えるようです。
学芸員によるみどころ解説も具体的でわかりやすく、展示品を鑑賞する際の手引きとなります。4月16日(日)にもみどころ解説が行われます。4月4日(火)から申込開始(申込先着順)となります。(キャプションを画像に続けて入力)
3月18日(土)に行われた学芸員によるみどころ解説の様子。次回は4月16日(日)に行われます。
・日にち:2023年4月16日(日)
・時 間:11:00~11:30/15:00~15:30 2回開催(各回同一内容)
・会 場:藤澤浮世絵館 交流スペース
・定 員:各回20名(申込先着順) ※4月4日(火)から受付開始
・申込み:藤澤浮世絵館に電話(0466-33-0111)でお申し込みください。
なお、藤澤浮世絵館の公式ホームページ(下記)では、展示作品の解説が展示期間中掲載されています。あわせてご覧ください。
http://fujisawa-ukiyoekan.net/collections/top.html
付記:本コラム記事を書くにあたり、学芸員によるみどころ解説、浮世絵館だより(2023年3月Vol.20)、藤澤浮世絵館発行のちらしを参考もしくは引用させていただきました。












