江の島の植物・ヒュウガミズキ
2023年04月30日 写真&文:坪倉 兌雄
ヒュウガミズキ(日向水木)Corylopsis paucifloraはマンサク科トサミズキ属の落葉低木で、本州中部日本海側の、石川、福井、岐阜、兵庫県、京都府、四国の高知県、九州の宮崎県に分布します。樹皮は淡褐色~灰褐色で滑らか、幹は株たち状になって多数の枝を分枝して、樹高は2~3㍍になります。江の島では中津宮広場やサムエル・コッキング苑などに植栽されており、手に取って観察できます。葉は単葉で互生し、長さ2~4㌢の広い卵形、質は薄く、葉縁には波状の浅い鋸歯があります。基部は心形で葉先は尖ります。葉の表面は緑色で、裏面はやや白色を帯び、白色の毛が散生します。葉柄の長さは5~12㍉。花期は3~4月、葉が開く前に、葉腋から長さ2~3㌢の短い花序を穂状に垂れ下げ、1~3個の黄色い花を開きます。花弁は5個で、長さは約8㍉の倒卵状楕円形。
サムエル・コッキング苑にて
葉は卵形または長楕円形
トサミズキの花序は長い
雄しべは5本あり、長さは5~6㍉で葯は黄色、雌しべの花柱は2本あります。蒴果は広倒卵形で6~8㍉、2個の花柱が残存し、熟すと蒴果は裂開して、光沢のある種子を出します。名前の由来は、丹波地方に自生しており、かつてこの地方が明智日向守光秀の所領(わずか13日間)であったことから、ヒュウガ(日向)を冠してヒュウガミズキと名づけたとする説があり、九州の日向地方にもヒュウガミズキが自生していますが、その自生が確認される前からこの名があったとされています。
同属のトサミズキ(土佐水木)によく似ていますが、トサミズキの花序には花が7~10個と多くつき、そのぶん長く垂れ下がり、葯は暗赤色で、葉はヒュウガミズキの葉より大きく、主脈の左と右の大きさが異なる(左右不同)など、これらが見分け方のポイントになります。ヒュウガミズキやトサミズキなどは耐寒や耐暑性があり、手入れがしやすいことなどから、生垣や庭木、公園樹として植栽され、また盆栽や花材などにもよく用いられます。
同属のトサミズキ(土佐水木)によく似ていますが、トサミズキの花序には花が7~10個と多くつき、そのぶん長く垂れ下がり、葯は暗赤色で、葉はヒュウガミズキの葉より大きく、主脈の左と右の大きさが異なる(左右不同)など、これらが見分け方のポイントになります。ヒュウガミズキやトサミズキなどは耐寒や耐暑性があり、手入れがしやすいことなどから、生垣や庭木、公園樹として植栽され、また盆栽や花材などにもよく用いられます。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2023年04月30日