江の島の植物・ヒペリクム・ヒドコート
江の島の亀ヶ岡広場などでは、初夏に大輪咲きの花をつけ、美しい景観をつくります
江の島の亀ヶ岡広場などでは、初夏に大輪咲きの花をつけ、美しい景観をつくります
江の島の植物・ヒペリクム・ヒドコート
2023年06月30日 写真&文:坪倉 兌雄
ヒペリクム・ヒドコート(Hypericum patulum cv. hidcote)はオトギリソウ科オトギリソウ属の小灌木、キンシバイの園芸種で中国原産。半常緑の低木で、公園や植物園などによく植えられ、庭木としても人気があります。江の島の亀ヶ岡広場などでは、初夏に大輪咲きの花をつけ、美しい景観をつくります。高さは0.5~1㍍、枝はやや赤みを帯びた褐色で斜上します。葉は十字対生する単葉で、質はやや厚く、ふちは全縁、葉身は長さ3~6㌢、幅1~2㌢の卵状披針形。葉の表面は緑色で、裏面はやや白みを帯びます。葉の先端は鈍くとがり、基部は円形で、ごく短い葉柄があります。花期は5~7月、枝先に6~8㌢の黄色い5弁花を上向きに1個付けます。5個の花弁は椀状に開き、雄しべの長さは約1㌢で黄色、葯は橙色、約60本の雄しべが集まって1束になり、5つの束が花柱を囲みます。
葉は十字対生につく
葉裏はやや白っぽい
ビョウヤナギの花
花柱は約1、8㌢で、先端は5裂します。名前は、学名のHypericum ‘Hidecote’を、そのまま日本語読みでヒペリクム・ヒドコート(以下“ヒドコート”)にしたものです。また大輪の花を開くことから別名で、タイリンキンシバイ(大輪金糸梅)ともよばれています。このヒドコートと同じオトギリソウ属の仲間には、キンシバイ、セイヨウキンシバイ、ビョウヤナギなどがあり、いずれもヒドコートと同じ黄色い花をつけます。それぞれのおもな違いをいくつかあげてみますと、ヒドコートとビョウヤナギの葉は十字対生し、キンシバイとセイヨウキンシバイの葉は対生します。また葉の形はそれぞれ異なり、花冠も異なります。ヒドコートは枝先に上向きの花を1個つけますが、他は集散花序をだして1~数個の花をつけます。ビョウヤナギの雄しべは、花弁より長く伸びてよく目立ちます。これら4種の花はいずれも4~7月に開花します。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2023年06月30日