江の島の植物・ニオイバンマツリ
2023年07月30日 (坪倉兌雄)
ニオイバンマツリ(匂蕃茉莉)Brunfelsia latifoliaはナス科ブルンフェルシア属の常緑樹の低木、熱帯アメリカ(ブラジルやアルゼンチンなど)原産で、日本には明治末期に渡来し、観賞用に栽培されています。熱帯地方原産ですが、関東より南の暖地では地植えにして育てることができます。江の島ではサムエル・コッキング苑などで見ることができます。樹高は約1㍍で、樹皮は暗褐色。葉は互生し、長さ6~8㌢、幅2~3.3㌢の楕円形、葉質は柔らかく、艶のある緑色で、縁はやや波打ち、裏面にわずかに軟毛があります。花期は5~7月、萼片が5裂し、花弁が伸びて、淡紫色の5弁花を開きます。花は直径約4㌢の両性花で、先端は5裂、漏斗状に平開します。雄性先熟で、最初は雄花が花粉をとばします。
花弁は紫色から薄紫色になり、さらに白色に変わると、雌しべが前面に出て目立ちます。果実は液果で約8㍉の球形、種子は5個で褐色に熟します。花色は紫色から薄紫色~白色へと日ごとに変化しますが、これは花弁に含まれるアントシアニンが、酸化酵素によって徐々に分解されることによるものと考えられています。ニオイバンマツリは低木であり、花はジャスミンのようなよい芳香を放つことから、鉢植えなどで楽しむことができます。しかし葉や果実など、木全体に毒素(アルカノイド)があり、子供やペットなどが誤って口に入れないよう注意が必要です。名前の由来は、「良い香り(匂い)を放つ茉莉(ジャスミン)に似た花で、外国(蕃)から渡来したことに因む」とされています。写真はサムエル・コッキング苑にて撮影
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