藤澤浮世絵館「江の島浮世絵と富士山 伝説の宝庫~藤沢・江の島~」
2023年8月3日(取材・記事:Tanbakko)
藤澤浮世絵館で「江の島浮世絵と富士山 伝説の宝庫~藤沢・江の島~」が開催されています。今回の展示では、江の島の誕生伝説や弁財天信仰の成り立ち、人穴(ひとあな、洞窟)で江の島が富士山とつながっているという伝説、そして奥州の地で討ち取られた源義経の首が藤沢までたどりつく伝説などが紹介されています。また、義経を描いた現代漫画と浮世絵とのコラボレーションも今回展示のみどころです。
それではコーナー毎に展示の内容を紹介していきます。
●東海道五十三次コーナーは「富士山を楽しむ 冨士三十六景」
東海道五十三次コーナーは、歌川広重の「冨士三十六景」のちりめん絵を展示しています。ちりめん絵とは、波打ったような細かいシワがあり着物などの生地に使用された縮緬(ちりめん)に似ていることから名づけられました。ヨーロッパで人気があったので明治時代に輸出用として数多く制作されました。
●藤沢宿コーナーは「北崎拓先生原画展「ますらお」 藤沢市所蔵義経浮世絵」
藤沢宿コーナーは、夏休み特別企画として、漫画家・北沢拓氏の「ますらお」の原画20点と藤沢市が所蔵する義経関連の浮世絵が展示されています。浮世絵と現代漫画に描かれた英雄の姿を比較しながら鑑賞できるという趣向です。今回展示のみどころの一つでもあります。
●江の島コーナーは「江の島伝説と富士山」
江の島コーナーでは、江の島誕生の伝説や江の島と富士山が人穴でつながっているという伝説をパネルや浮世絵で紹介しています。人穴伝説の浮世絵は企画展示コーナーへとつながっていく流れとなっています。
●企画展示コーナーは「江の島から富士山へ」
企画展示コーナーの入り口に「組上絵 明治座新狂言 富士の人穴」が展示されています。「富士の人穴」の話は、明治45年(1912年)に明治座新狂言(歌舞伎)にも取り上げられ、芝居の一場面が「組上絵」の形で再現されたものです。
企画展示コーナーには、歌川貞秀の「富士山真景全図」など富士山を描いた作品も数多く展示されています。
今回の展示は、現代漫画と浮世絵のコラボレーションや、江の島が富士山と人穴でつながっているという伝説、江の島誕生伝説など藤沢にまつわる伝説・伝承をテーマにした見応えのある展示です。学芸員によるみどころ解説を聞いてから展示を見て回るとより展示内容が興味深く鑑賞できるのではないかと思いました。
なお、藤澤浮世絵館の公式ホームページ(下記)では、展示作品の解説が掲載されています。あわせてご覧ください。