江の島の植物・ヒルガオ
2023年8月30日 (坪倉兌雄)
ヒルガオ(昼顔)Calystegia japonicaは、北海道~九州に分布するヒルガオ科ヒルガオ属のつる性多年草で、野原や道ばた、草むらなど日当たりのよい場所に生育します。江の島では参道わきや広場の片隅などで見ることができます。地中に白色の細い茎をのばしてよく増え、地下茎は切れやすく、切れた茎からさらに新しい株として増えます。地上の茎はつる状になって、まわりの藪や植木などにからまり左巻きにのびます。葉は茎に互生し、葉柄の長さは1~4㌢、葉は長楕円形で長さは10~15㌢、基部の両側はほこ形にとがります。花期は6~8月、花は葉腋からでた花柄の先に1個つきます。花冠は淡紅色で直径5~6㌢の漏斗形、その基部に小さな萼があり、萼片5個は2枚の大きな卵形の苞葉に包まれます。
雄しべは5個で葯は白色、雌しべは1個。花は夜咲いて翌日の午前中に閉じます。ヒルガオの果実はほとんど結実することなく、地下茎で増えます。名前は日盛りに花が咲くことから、アサガオ(朝顔)に対してヒルガオ(昼顔)になったとされています。
ヒルガオの開花時期には、同属のコヒルガオが咲いています。花はヒルガオよりやや小さくて直径3~3.5㌢の花をつけます。葉は細く三角状、基部の両端がほこ形に長くはり出すことなどから見分けることができます(写真参照)。万葉集には四首のかおばな(ヒルガオ)が詠われていますが、そのうちの一句をここに紹介します。
美(み)夜(や)自路(じろ)の 砂丘(すか)辺(へ)に立てる 貌(かお)が花 な咲き出(い)でそね 隠(こ)めて偲はむ
万葉集(巻十四 三五七五、 詠人未詳)
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2023年08月30日