続・湘南のお地蔵さま『小和田阿彌陀堂地蔵』
2023年9月10日 (江ノ電沿線新聞)
続・湘南のお地蔵さま(81)『小和田阿彌陀堂地蔵』
茅ヶ崎市 代官町 中島淳一
辻堂駅から茅ヶ崎駅行きのバスに乗り小和田で下車。少し戻ると細い道の突き当りにお堂があり、台座まで含めると等身大程もある石のお地蔵さまが祀られる。この辻には近くの真言宗千手院持ちの小和田阿彌陀堂があったと伝わる。
右手に錫杖(欠失)左手に宝珠を持つ通例のお姿だが、袈裟には赤い色が残っており彩色が施されていたようである。丁寧な修理の跡が見られ、様々な困難に翻弄されながらも地域の厚い信仰に支えられていたことがよくわかる。
地蔵堂横に小堂がもう一つあり石の弘法大師坐像が祀られる。この像は相模国準四国八十八箇所霊場の中の第七番札所の本尊であるが、この霊場は江戸後期頃に鵠沼村の浅場太郎右衛門親子が四国の霊場巡りを模して発起したもので、宗派に関係なく石の弘法大師像を寺院等に安置した。しかしこの信仰を知る人はすでになく、その御像たちだけがいつ来るとも知れない巡礼者を待ちわびている。
このお地蔵さまの足元には小石がたくさん積まれており、子育地蔵またはいぼ取り地蔵として信仰されているようだが、お隣の弘法大師像と最強タッグを組んでこの地域の人々を末永く守り続けてほしい。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2023年9月10日