江の島の植物・タケニグサ
2023年9月20日 (坪倉兌雄)
タケニグサ(竹似草)Macleaya cordataはケシ科タケニグサ属の多年草で、本州、四国、九州に分布し、山地や荒地、道ばたなどの日当たりのよい場所にはえます。江の島では車道わきや空き地などで見ることができます。茎は中空で、高さは1~2㍍、この茎を折ると黄色い乳液がでます。茎や葉裏は粉白色を帯び、全体がやや白っぽく見えます。葉は互生して長い葉柄があり、葉身の長さは10~30㌢、幅8~20㌢で、ふちは羽状に裂けて、裂片の先は丸みを帯びます。花期は7~8月、茎の先に大形の円錐花序をだします。蕾は2枚の白色の萼片に包まれて長さは約1㌢に、萼が開くと同時に2枚の萼片は落ちます。花に花弁はなく、雄しべの花糸は糸状で白色、葯も白色、小さい花を多数つけます。花柱は短くて柱頭は2裂します。
花びら(糸状の花糸)が散るとオレンジ色の花柱が残ります。受粉した子房は、さらに成熟して果実になり、果実は蒴果で長さは約2.5㌢に、中に小さい種子が数個あります。和名の由来は茎が中空で太く、タケに似ることからタケニグサ(竹似草)、この草と竹をいっしょに煮ると竹が柔らかくなるのでタケニグサ(竹煮草)、などの説があります。また風が吹くと莢の中の種子が動き、さやさやと音を立てることから、これが人の囁きに聞こえるとして、「ササヤキグサ」の別名があります。
茎や葉を傷つけると橙黄色の乳液がでます。この乳液には、有毒成分アルカロイドのプロトピンなどを含み、誤って山菜として食べると、呼吸や心臓麻痺などの中毒症状を起こすことがあるとされています。
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