江の島の植物・ジュランタ 宝塚
2023年10月10日 (坪倉兌雄)
ジュランタ宝塚(Duranta erecta cv. Takarazukaは, 常緑の低木~小高木で、メキシコ~南アメリカ原産のクマツヅラ科ハリマツリ属のジュランタ(Duranta erecta)を、わが国でさらに改良し創出した品種とされ、豪華な花を長期間咲かせることから、観賞用によく栽培されています。江の島では、参道わきや江の島大師の境内などに地植えされています。樹高は2~5㍍の常緑低木~小高木で、枝には4稜があり、よく枝分かれして先端は垂れ下がります。葉は対生し、葉柄の長さは1㌢未満で細毛があります。葉質は柔らかくて濃緑色、葉身は卵形~披針形で、長さは2~8㌢、幅1.5~3.5㌢、葉縁の上半分に粗い鋸歯があり、先端は尖ります。花期は5~10月、葉腋や枝先から円錐状の総状花序を下垂し多数の花をつけます。
花は濃紫色で白い縁どりが入り、花付きがよくて豪華な花姿になります。花柄の長さ2~3㍉、萼片は5裂し、花後さらに大きくなって果実を包みます。筒部の長さは約8㍉、花冠は径1~1.5㌢の淡紫色で漏斗状、先端は5裂して平開し、ふちは波打ちます。雄しべは4本、雌しべ1本、いずれも花冠に隠れます。果実は球形の核果、熟すとオレンジ色になりますが、有毒で食用にはなりません。ジュランタ宝塚は寒さに弱く、冬季には霜などが当たらないよう5℃以上に保ち管理しますが、江の島では地植えで冬季でも特に問題なく育っています。名前の由来は、16世紀の植物学者「ジュランタ(Duranta)」の名をそのまま使い、「宝塚」は白い縁どりのある花が、タカラジェンヌの袴姿を連想させることによる、などとされています。
ジュランタが日本への渡来したのは、明治中期とされ、その後多くの園芸品種が流通していますが、その中でも「ジュランダ宝塚」の花はよく目立ち人気があります。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2023年10月10日