江の島の植物・マルバアキグミ
2023年10月20日 (坪倉兌雄)
マルバアキグミ(丸葉秋茱萸)Elaeagnus umbellate var. rotundifoliaはグミ科グミ属の落葉低木でアキグミの変種とされ、関東地方以西の太平洋側、伊豆諸島、四国、九州に分布し、海岸近くによく生える、日本固有種です。江の島では西緑地や、聖天島公園の岩山の上など、日当たりのよい場所に生え、手にとって観察することができます。樹皮は灰黒色ですが、若い枝は灰白色で太く長くのび、樹高は2~3㍍になります。葉は単葉で互生し、葉柄の長さは0.5~1㌢で鱗状毛が密生します。葉質は厚く、倒卵形または卵形で、長さ3~7㌢、幅2~5㌢に、葉縁に鋸歯はなく、表面に銀色の鱗毛が密生、葉裏には銀白色の鱗状毛が密生して、褐色の毛が混じります。開花期の葉先は、名前のとおり丸みをおびていますが、花後、果実がつく頃には、葉の先端はやや尖ります。
マルバアキグミの花期は4~5月、葉腋に白色~淡い黄色の花を1~3個束生します。しかしこの花に花弁はなく、筒形の萼片の先が4深裂して平開したもので、一見花弁のように見えます。果実は球形で、径0.6~0.8㌢の偽果、10~11月に赤く熟し、やや渋味がありますが食用になります。和名はグミの仲間で、葉が丸く果実が秋に熟すことから、マルバアキグミ(丸葉秋茱萸)になった、とされています。マルバアキグミは、日当たりがよくて水はけのよい土壌をこのみ、挿し木などで増やすことができます。用途として盆栽や鉢植え、庭木や公園樹などに、またグミの材は硬いことから器具材としても用いられます。
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