なぜか忠臣蔵
藤沢のヒーロー小栗判官と江戸歌舞伎
2023年12月4日(取材・記事:Tanbakko)
江戸時代から歌舞伎や人形浄瑠璃で庶民に親しまれてきた「小栗判官」にちなんだ企画展「なぜか忠臣蔵 藤沢のヒーロー小栗判官と江戸歌舞伎」が、藤澤浮世絵館で開催されています。本展では、「忠臣蔵」の魅力とともに藤沢と小栗判官のかかわりなどが浮世絵を通して紹介されています。また、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館所蔵の浮世絵が展示されているのも本展示のみどころの一つです。それでは各コーナーの展示概要を紹介していきましょう。
◆東海道五十三次コーナー「小栗判官の世界」
東海道五十三次コーナーは「小栗判官の世界」がテーマです。小栗判官の物語は、説経節として戦国時代に生まれ、広く流布しました。江戸時代になると歌舞伎や人形浄瑠璃として人気を博しました。本コーナーでは、浮世絵に描かれた小栗判官物語の代表的な場面を紹介しています。
◆藤沢宿コーナー「藤沢のヒーロー小栗判官」
小栗判官の物語は藤沢・遊行寺とのかかわりが深く藤沢宿を主題とした浮世絵にも多く描かれています。江戸時代には、「藤沢といえば小栗判官」が連想されるくらい、小栗判官はいわば藤沢のヒーローでもありました。2023年11月には、遊行寺の山内寺院である長生院の小栗判官の物語に関わる文化財が、藤沢市指定重要文化財に登録されました。
◆江の島コーナー「藤沢・江の島にゆかりのある歌舞伎」
江の島コーナーには、「藤沢・江の島にゆかりのある歌舞伎」というテーマで、藤沢や江の島にかかわる歌舞伎の演目を描いた浮世絵が展示されています。
東海道四谷怪談は藤沢の四ツ谷が舞台だと考えられていたため、藤沢と四谷怪談を関連付けた浮世絵が描かれています。また、白波五人男の一人、弁天小僧は江の島岩本院の稚児でした。
◆企画展示コーナー「なぜか忠臣蔵」
企画展示コーナーは「なぜか忠臣蔵」というテーマで、人形浄瑠璃や歌舞伎の演目として有名な「仮名手本忠臣蔵」の各段を描いた浮世絵が展示されています。
いずれも早稲田大学坪内博士記念演劇博物館の所蔵品であり、見ごたえのある展示となっています。
また、初世歌川国貞の「忠臣蔵錦絵下絵」がその完成作品とともに展示されています。後期は実物10点が展示されていてみどころの一つです。(※前期はパネルにて紹介。)
◆学芸員によるみどころ解説が12月10日(日)に行われます。
・開催日:12月10日(日)
・時 間:11:00~/15:00~ (各回同一内容・30分程度)
・場 所:藤澤浮世絵館多目的室
・定 員:各回30人(当日先着順)
・参加費:無料
みどころ解説では、小栗判官と藤沢とのかかわり、「小栗判官物語」が「忠臣蔵」の物語や登場人物への仮託にどのように利用されていたのか、そして仮名手本忠臣蔵各段の浮世絵の紹介などが学芸員により分かりやすく解説されます。
今回の展示は、11月に小栗判官資料が藤沢市の指定重要文化財として登録されたこともあり、タイミングの良い企画展だと思いました。
なお、藤澤浮世絵館の公式ホームページでは、展示作品の解説が展示期間中掲載されていますのでご覧いただければと思います。
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記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。☑ 2023年11月29日