続・湘南のお地蔵さま(84)『みどり地蔵』
2023年12月12日 (江ノ電沿線新聞)
続・湘南のお地蔵さま(84)『みどり地蔵』
茅ヶ崎市 芹沢 中島淳一
海のイメージが色濃い茅ヶ崎市だが、その北部には緑鮮やかな丘陵が広がり、その中に市内で最も古い歴史を持つ小出小学校がある。その創立は明治六年(一八七三)で、今年がちょうど百五十周年となり地域と共に様々な記念行事が行われている。
今回紹介するお地蔵さまは、この学校内に居を構える大変珍しい石造の「みどり地蔵」である。像高約百五十センチ、右手に錫杖左手に宝珠(共に欠失)を持ち袈裟を着け、どっしりと安定感のあるお姿で学び舎の子どもたちをやさしく見守っている。
当時の資料では戦時体制直前の昭和十年(一九三五)に地元の修養団体から延命地蔵として寄贈され、当時の新聞にも「(小出)村地蔵」建立という表現で記事が掲載されている。その目的は夭折した在校児童の供養と在校生の健康増進を図るためで、その名前は①幼児の看援(愛)②のびる緑の芽(力)③校歌冒頭の「緑かわらぬ二本松」(操)の三つの「緑」から命名されたようである。
九十年近くも夜昼なく学校や子どもたちを守り通してくれたみどり地蔵。創立百五十周年の節目を迎え、改めて感謝の気持ちを伝えたい。
(学校内のため通常は見学不可)