江の島の植物:ヒイラギナンテン・チャリティ
2023年12月20日 (坪倉兌雄)
ヒイラギナンテン・チャリティ(Mahonia×media cv. Charity)は中国、台湾原産のヒイラギナンテンの交雑育種の一つで、メギ科ヒイラギナンテン属の耐寒性常緑低木です。江の島では神社境内、亀ヶ岡広場やサムエル・コッキング苑などで見ることができます。幹は株立ちで樹皮は灰褐色、樹高は2~3㍍になります。葉は茎や枝の先に集まって、互生しにつき、質は厚い革質で光沢があります。葉柄の基部はさや状になって茎を抱きます。葉は奇数羽状複葉で、側小葉が5~7対ついた長楕円形、長さ15~27㌢で、幅は5~10㌢。側小葉に葉柄はなく、葉の縁には刺状の鋸歯があり、触れると痛みを感じます。開花期は11月~1月、茎頂に長い総状花序を多数立ち上げて、芳香のある黄色い花を密に開きます。
花の少ない冬季に、多数の黄色い花穂(かすい)を立ちあげ、その長さは約30㌢と長く、鮮やかな黄色が、美しい景観をつくります。果実は球形で直径約5㍉、熟すと白粉をおびた黒紫色になります。普通よく見かける、常緑低木のヒイラギナンテン(柊南天)は、垣根などによく植えられていますが、ヒイラギナンテン・チャリティは垣根には適しません。しかしその単調な樹形が、日本庭園にもよくマッチし、黄色い花や、季節による葉色の変化などを、一年を通して観賞することができます。樹形を整えるには、剪定を花後に行い無駄な枝などを取り払って整えます。日向または日陰でもよく育ち、挿し木なので殖やすこともできます。ヒイラギナンテンの名前は、棘のある葉がヒイラギ(モクセイ科モクセイ属)に似て、実のつき方がナンテン(メギ科ナンテン属)に似ることに由来します。別名でマホニア・メディアとも呼ばれ、公園樹や庭園樹として植栽され、花材などにも用いられます。
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