江の島の植物・ノボロギク
2023年12月30日 (坪倉兌雄)
ノボロギク(野襤褸菊)Senecio vulgarisはキク科キオン属の1年草で、原産地はヨーロッパ、明治初期に渡来して国内のほぼ全土に分布しています。江の島では参道わきの草むらや空き地などで、普通に見ることができます。茎は直立して赤紫色を呈しまばらな毛があり、肉質で柔らかく、よく分枝して横にも広がり、高さは20~30㌢になります。葉は濃緑色でやや光沢があり、葉は不規則に中裂し羽状に裂け、長さは3~8㌢に、葉柄はなく互生して基部は茎を抱きます。花の時期は5~8月に多く、江の島ではほぼ1年中、花を見ることができます。茎の上部に黄色の頭花を数個つけますが、頭花は黄色の筒状花で、頭花の長さは約6㍉、幅は4㍉、小苞や総苞の先端が黒くなります。果実は痩果で白色の冠毛がつきます。
ノボロギクには有毒成分を含み、誤って食べると下痢や吐き気を起こす恐れがあります。和名の由来は、野に生えるボロギクで、白い冠毛をぼろ切れに見立てたものとされています。
ノボロギクと同じキク科キオン属の植物に、ダンドボロギク(段戸襤褸菊やベニバナボロギク(紅花襤褸菊)があり、いずれも名前に「ボロ」がつく帰化植物で1年草、花期は8~11月で、江の島の歩道わきや草むらで見ることができます。ダンドボロギクは南アメリカ原産で、昭和8年に愛知県の段戸山で発見され、和名はこれにちなむとされています。茎の上部に枝を分け筒形の頭花を上向きにつけます。もう一方のベニバナボロギクはアフリカ原産で、戦後、日本へ入り急速に広まり広まったものとされています。花序は下向きにつき、花冠の先はベニ(紅)色になり、和名はこれにちなみます。戦時中、兵士がシュンギク(春菊)の代わりに食用したことから、ナンヨウシュンギク(南洋春菊)の別名があります。
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