江の島の植物・ヨウシュヤマゴボウ
2024年02月29日 (坪倉兌雄)
ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)Phytol-
acca americanaは、ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の多年草で、別名をアメリカヤマゴボウとも呼ばれ、原産地は北アメリカ。わが国へは明治初期に渡来した帰化植物で、現在では国内に広く分布し、各地の道ばたや空き地などで普通に見ることができます。江の島では広場の片隅や、参道わきなどに生育しています。根はゴボウに似ていますが有毒です。茎は太く滑らかで紅紫色を帯び、枝をよく分けて高さは1~2㍍になります。葉は長楕円形で互生し、長さは10~30㌢、全縁で先端は尖り、裏面に葉脈が目立ちます。葉柄の長さは1~4㌢。花期は6~9月、10~30㌢の長い柄をもつ総状の花序に、白色~淡紅紫の花を横向きに多数つけます。花は直径5~7㍉で、花弁はなく、5個の萼片(花被片)が目立ちます。萼片は花後もそのまま残ります
果実は液果で直径約8㍉の扁球形、長い果柄や萼片は赤くてよく目立ちますが、熟すと果実は黒紫色になり下垂します。実は鳥などによって他の地へ運ばれ分布を広げます。根や果実などに、有毒成分を含むことから注意が必要です。名前の由来は、関東以西に分布するマルミノヤマゴボウ(丸実の山牛蒡)に似て、外国産であることからヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)になったとされ、別名のアメリカヤマゴボウ(亜米利加山牛蒡)は、原産地がアメリカであることによります。同じヤマゴボウ科の植物にヤマゴボウやマルミノヤマゴボウがありますが、いずれも花期は6~9月、根や茎などに有毒成分があり食用にはなりません。野菜として食べるゴボウ(牛蒡)は、ヤマゴボウとは異なりキク科の植物です。原産地は不明ですが、古くに中国から渡来し、根菜として栽培されるようになり、さらに改良されて多くの品種が生み出され食用に用いられています。しかし、日本人以外はほとんど食べないといわれています。
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