続・湘南のお地蔵さま(87)『神大寺の塩嘗(しおなめ)地蔵』
2024年3月9日 (江ノ電沿線新聞)
続・湘南のお地蔵さま(87)『神大寺の塩嘗(しおなめ)地蔵』
横浜市 神大寺 中島淳一
横浜市営地下鉄・片倉町駅からバスに乗り神奈川土木事務所前で下車。すぐ先の道を斜め左に入り左の坂道をのぼると立派なお堂があり、四体の石造物が祀られる。地元では塩嘗地蔵と呼ばれ、地域に伝わるご利益としてはいぼや怪我、病気などを治してくれ、そのお礼に塩を供えるのだという。
以前、鎌倉市光触寺の塩嘗地蔵について紹介したが、神大寺の像の前には、雪かと見まごうように塩が供えられている。数年前まではお地蔵さまの姿が見えなくなる程に供えられていたようだが、今は心を込めての「一掴み」という約束になっている。
現在四体のうちお地蔵さまの面影を残す像は一体だけで、他の三体はひどく風化が進んでいる。ただ私は数年前に横須賀市走水の海岸沿いで同じ姿の石造物を見たことがあり、どちらも「塩」に共通点がある。調べてみると石の種類によっては塩分にとても弱く、石の中の水分に反応して堅い石が溶けることが分かった。
塩嘗地蔵が我が身を削り多くの人々を救ってきたことは疑いの余地もないが、そのご利益はこれからも「波の花」のように人々の心に何度も打ち寄せその悩みを解決してくれるであろう。