江の島の植物・トウバナ
2024年03月20日 (坪倉兌雄)
トウバナ(塔花)Clinopodiumg gracileはシソ科トウバナ属の多年草で、本州~沖縄に分布し、山地、道ばた、田の畔など、やや湿った場所に生えます。江の島では参道わきや龍野ヶ岡広場などで普通に見ることができます。茎は根本から束生し、四角形で細く微細毛があり、下部は地を這い立ち上がって10~30㌢になります。葉は対生して卵形~広卵形で長さは1~3㌢、幅8~20㍉、縁に浅い鋸歯があり、葉柄の長さは3~8㍉に。花期は5~8月、枝先に淡紅紫色の唇形花を数段に輪生します。花冠の長さは4~5㍉、上唇は下唇より短くて浅く2裂、下唇は3裂します。萼は筒形で3~4㍉、短毛があります。果実は4分果。名前の由来は、花穂が1段、2段、3段と輪生する、その様を仏塔に見立てたものとされています。
トウバナの近縁種で北海道~九州に分布する多年草に、イヌトウバナやクルマバナなどがあります。イヌトウバナ(犬塔花)は山地などの木陰に生え、草姿はトウバナよりやや大きく、茎は四角で長さは20~30㌢、葉の長さは2~5㌢で、葉質は薄く、ふちに鋸歯があります。花期は8~10月、花冠の長さは5~6㍉、白色でやや淡紫色を帯びた唇形の花を開きます。一方、クルマバナ(車花)は草原に生える多年草で、茎は四角で枝分かれし、高さは20~80㌢になります。葉は対生して長卵形、長さは2~4㌢、ふちに鋸歯があります。花期は8~9月で、枝先に紅紫色の花を数段輪生し、花冠の長さは6~10㍉になります。両者とも、トウバナの花期が終わる頃に開花します
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