江の島の植物・レンギョウ
2024年03月30日 (坪倉兌雄)
レンギョウ(連翹)Forsythia suspensaはモクセイ科レンギョウ属の落葉低木で、雌雄別株。原産は中国とされ、古くから観賞用や薬用植物として、広く栽培されてきました。樹皮は茶褐色で縦の裂け目があり、円形や楕円形などの皮目が目立ち、節を除き枝が中空となり、別名でレンギョウ空木とも呼ばれています。江の島では北緑地やサムエル・コッキング苑などで見ることができます。幹は株立ち状となって伸び、若枝は黄褐色で、ところどころに不規則な稜がみられます。高さは2~3㍍になり、枝が地につくと、そこから根をおろすこともあります。開花は3~4月、葉に先だって前年枝の葉腋に黄色い花を1個ずつ、やや下向きに開き、花冠は直径約2.5㌢で4深裂します。江の島の北緑地に咲くレンギョウの花の、雌しべの長さは約3㍉と小さく、雄しべは長さは約6㍉で2個あり、雄株と推定されます。
雄しべは2個で、ともに花柱より長く雄株と推定されますが、一方で、子房も肉眼ではっきりと確認できることから、種子ができるのではとの懸念も残ります。萼片は楕円形で長さは6~7㍉、花筒とほぼ同じ長さになります。葉は卵形で対生につき、長さ4~8㌢で、幅は3~5㌢に。葉先は尖り、基部は円形で、ふちには粗い鋸歯があります。レンギョウの雌株につく蒴果は、長卵形で約1.5㌢、種子には狭い翼があります。名前の由来は、漢名の「連翹」を音読みしたもので、中国の「連翹」はトモエソウかオトギリソウのことを指しているとされています。レンギョウは刈り込みにもよく耐え、また前年に伸びた枝を用いて挿し木などで増やすことができ、庭木や生垣、盆栽、公園樹としてもよく利用されています。また花や果実には薬効成分があり、生薬では連翹(レンギョウ)とよび、消炎や利尿などに用いられます。参考文献:日本の樹木(山と渓谷社)。
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