江の島の植物・ハコネウツギ
2024年04月20日 (坪倉兌雄)
ハコネウツギ(箱根空木)Weigela coraeensisはスイカズラ科タニウツギ属の落葉小高木で、北海道南部~九州の沿海地方に自生し、潮風や暑さ寒さに強く、防潮樹や海沿いの緑化によく用いられ、観賞用として各地に植えられています。江の島では北緑地などで見ることができます。高さは約4㍍になり、根元から多数の幹が伸びます。若い樹皮は灰褐色で皮目が散在し、縦に浅く裂けますが、成長すると縦長の網目状に裂けてはがれます。枝は無毛で茶褐色、稜があり、髄は白色。葉は対生し、葉身の長さは6~16㌢、幅4~8㌢で楕円形~広楕円形、先端はとがり、基部は広いくさび形。縁には細かい鋸歯があり、裏面の脈上に毛があります。葉柄の長さは8~15㍉で毛があります。花期は5~6月、枝先や葉腋に花が2~3個つき、花は白色から、しだいに赤色に変化します。
子房は長く1.5~2㌢の円筒形で、一見花柄のように見えます。萼は基部まで5裂に、苞は披針形~線形で、長さは2~12㍉。花冠は漏斗状鐘形で、長さは3~4㌢、その先端は5裂し、雄しべは5個で花筒とほぼ同じ長さ。花柱は1個で花筒からつきでます。果実は蒴果で長さは約3㌢の円柱形、11月頃に熟して裂開し、翼のある小さな種子をだします。名前の由来は不明です。箱根の山には分布していないことから誤認とされていますが、低地では自生があったともいわれています。
ハコネウツギによく似た仲間に、タニウツギ(谷空木)があります。日本海側の日当たりのよい山地に普通に生え、観賞用として各地によく植えられており、かつて江の島の西緑地でも見ることができました。葉はハコネウツギよりやや小さく、長さ4~10㌢、幅2~6㌢の卵状楕円形、裏面の前面に白い毛があり、葉柄はやや赤味を帯びます。花は淡紅色または紅色で、ハコネウツギの花のように白から赤色に移り変わるようなことはありません。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2024年04月20日