熊坂兌子 サール・シュワルツ作品展 la vita(ラ・ヴィタ:人生、命)
2024年5月3日 (itazu)
藤沢ゆかりの彫刻家、熊坂兌子(なおこ)(1933-)とサール・シュワルツ(1912-2004)の作品を紹介する展覧会が、4月27日より(6月2日まで)藤沢市アートスペース(FAS)にて開催されています。
藤沢市民会館近くの奥田公園前広場にある<核兵器廃絶平和祈念像>(平和の母子像)(写真左)や長久保公園にある<デミター(豊かな実りをもたらす女神)>(写真右)などのパブリックアートーをご覧になった方も多いと思います。
これらは、藤沢市出身で長年在住されている彫刻家、熊坂兌子(1933-)と夫の彫刻家、サール・シュワルツ(1912-2004)の作品です。二人は、1970年代、アメリカでの出会いを経て、2004年まで日本とイタリアを往来しながら作品制作を続けました。
夫婦が互いに作成したパートナーの彫像が、会場の入り口にあります。
今回の作品展は、2023年に藤沢市が新たに収蔵した立体・平面作品を中心に、市内にあるパブリックアートも織り交ぜながら、その制作活動を紹介しています。会場には、彫刻の他、エッチング、シルクスクリーンなど34点が展示され、夫婦であり、芸術家としてのかけがえのない同志でもある二人の人生―la vita―を垣間見ることができます。
上記(写真左)核兵器廃絶平和祈念像(平和の母子像)(熊坂兌子作)は戦後50年の平和を祈念して作られました。像を載せた台座の側面にある16枚のレリーフは、サール・シュワルツが制作したもので、その一つずつに平和の願いが込められています。
(写真右)は、長久保公園にあるデミタ―(豊かな実りをもたらす女神)(サール・シュワルツ作)の模型で、制作過程の試行錯誤がうかがうことができます。
<Cellular Form(細胞の形態)><FRACTURD RECTANGULAR(折損された長方形)>この二つは、いずれもサール・シュワルツの作品で、細胞のイメージが、平面、立体でそれぞれ表現されていて、外圧でゆがめられつつも屈せず、活性しようとする生命の力が感じられます。戦争に従事した体験があり、生命への賛歌や平和への希求が作品に反映されているのかもしれません。
作品初日(4月27日)は、担当学芸員鎌田さんによるギャラリートーク(写真左)がありましたが、トークの終盤で、熊坂兌子さんが来場されるサプライズがありました。熊坂さんは、観客の皆さんに、平和への思いを語っておられました。
なお、5月25日(土)14:00-15:00にも担当学芸員によるギャラリートークが予定されています。
(詳細→FAS/藤沢市アートスペース|Fujisawa City Art Space )
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。☑ 2024年5月3日