江の島の植物・クサノオウ
2024年05月10日 (坪倉兌雄)
クサノオウ(瘡の王・草黄)Chelidomium majus subsp. asiaticumはケシ科クサノオウ属の越年草で、北海道~九州の山麓や平地の道ばた、草地などに生え、江の島では、中津宮広場の一角や日当たりの良い石垣や道ばた、海側の斜面などで見ることができます。全体的にやわらかくて茎や葉には白毛が生え、粉白色を帯びたように白っぽく見えます。茎は中空で、高さは30~80㌢になり、茎や葉を傷つけると黄色の汁がでます。葉は互生し、葉の長さは6~15㌢で、1~2回羽状に深く切れ込み、その裂片や葉先は尖ることなく円みをおびます。花期は4~7月、花は茎頂につき、細長い花柄の先に、直径2㌢の黄色い4弁花を数個つけ、2個の萼片は開花と同時に脱落します。雄しべは多数あり、1個の雌しべを取りかこみます。花柱は短く、子房は長く、曲がります。
果実は蒴果で細長い円柱形、長さは約3^5㌢で細長く直立し、熟すと縦に裂けて種子を散布します。名前の由来はクサ・カサ(瘡)の王で、カサは皮膚病の総称、皮膚病の治癒によく効くことから「瘡の王・クサノオウ」に。葉や茎を傷つけると黄色い黄色い乳液が出ることから「草の黄」などの説があります。生薬では白屈菜(はっくつさい)と呼び、全草にアルカロイドのケリドニン、プロトピンなどの成分を含み、たむし、虫さされ、腫れ物などの外用薬として用いられますが、猛毒のアルカロイドを含むので内服は危険です(参考:薬になる植物図鑑)。
クサノオウと同時期に開花する野草に、ケシ科のヤマブキソウ(4弁花)や、キンポウゲ科のキツネノボタン(5弁花)、ケキツネノボタン(5弁花)などがあり、いずれも花は黄色で草姿も似ています。
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