江の島の植物・ケキツネノボタン
2024年05月20日 (坪倉兌雄)
ケキツネノボタン(毛狐の牡丹)Ranun-culus cantoniensisは、キンボウゲ科キンボウゲ属の多年草で本州~九州に分布し、田の畔や湿り気のある路傍などによく生えます。江の島では参道わきや空き地のやや湿った場所などで見ることができます。茎は中空で直立し、高さは20~50㌢になり、開出毛が密生し、根生葉には長い柄があります。茎葉は互生して、葉柄は短く、葉は三出複葉で小葉は3裂に、縁に不揃いの鋸歯があります。花期は5~7月、分枝した茎の先端に黄色の小さな5弁花を開きます。花にはやや光沢があり、直径約1,5㌢に。萼片は5個で、長さ3.5㍉の広卵形、背面に毛があります。雄しべは黄色、雌しべは緑色でともに多数あります。
果実は多数の痩果で球状になった集合果です。瘦果の先端は尖り、やや曲がるものがありますが大部分は真っ直ぐです。この集合果の形は、子供の頃よく食べた金平糖に似ており、ついむしり取ってみたくなりますが、ケキツネノボタンや同属のキツネノボタンは有毒植物です。葉や茎の汁が皮膚につくと、発疹やかぶれを起こし、食べると腹痛や呼吸麻痺などを引き起こすとされています。手にとって観察するときは、十分な注意な注意が必要です。名前の由来は「仲間のキツネノボタンに似るが、葉や茎に毛が多いことからケキツネノボタン(毛狐の牡丹)になった」とされています。キツネノボタンは、ケキツネノボタンとほぼ同時期に5弁花をつけますが、葉にやや広がりがあり、痩果の先端が多少曲がること、などから見分けることができます。ともに有毒植物であることからキツネ(狐)を冠し、葉が牡丹の葉に似ることから「狐の牡丹」になったとされています。
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