江の島の植物・ゲッケイジュ
2024年05月30日 (坪倉兌雄)
ゲッケイジュ(月桂樹)Laurus nobilisはクスノキ科ゲッケイジュ属の常緑低木~高木で、高さは12㍍に達します。原産地は地中海沿岸、雌雄別株で日本には明治時代(1905年頃)に渡来したとされ、日本では雌株は少ないとされています。江の島では児玉神社の境内やサムエル・コッキング苑などで雄株を見ることができます。樹皮は灰色で皮目が多く、新枝は緑色を呈します。葉は互生して、葉身の長さは7~10㌢、幅2~3.5㌢の長楕円形で革質、ふちは波うち、先端はとがり、基部はくさび形。葉柄は0.5~1㌢で、赤褐色を帯びます。葉は深緑色で、折ったり傷をつけたりすると特有の香りがします。この枝葉は香辛料として料理などによく使われます。花期は4~5月、葉腋に芳香のある黄白色の小さな花を、散形状につけます。
花被片は4深裂し、長さは3~3.5㍉の楕円形で、雌花はやや小さい。雄花に8~12個の雄しべがあり、雌花には1個の雌しべと仮雄しべが4個あります。果実は液果で長さは8~10㍉の楕円形、10月には暗紫色に熟して落ちます。名前の由来は、中国語の「月桂樹」を音読みしたもので、学名のLaurusはラテン語で「緑色」を、nobilisは「高貴な」を意味します。葉や果実などにはシネオール、ゲラニオール、ビネンなどの精油を含み、内臓の機能を高め、香りは情緒を落ち着かせる効果があるとされています。生薬では、葉を陰干ししたものを月柱葉(げっけいよう)とよび、リュウマチや神経痛に、熟した果実を陰干しにしたものを月桂実(げっけいじつ)とよび、健胃などに用います。ゲッケイジュの葉はスパイスとして洋風料理の香りづけや、魚類や肉類の臭いをやわらげるのにも利用されます。
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