江の島の植物・サンゴジュ
2024年07月10日 (坪倉兌雄)
サンゴジュ(珊瑚樹)viburnum awabukiはスイカズラ科ガマズミ属の常緑小高木~高木で、本州(関東南部以西)、四国、九州、沖縄など、暖地の海岸や沿海地の山地に自生し、また各地に広く植えられています。樹高は普通5~6㍍ですが、15㍍にもなる高木もあります。江の島では北緑地の一角で見ることができます。樹高はおよそ6㍍で株立ちとなり、樹皮や枝は灰褐色、赤褐色の皮目が散在します。葉は対生し、葉柄は長さ1~4㌢、葉の基部は楔形で、葉身の先端は尖ります。葉は楕円形~長楕円形で、厚い革質。長さ8~20㌢、幅4~8㌢、表面は光沢があり、ふちは全縁、または低い波状の鋸歯があります。葉の裏面には細かい腺点があり、葉脈は裏面にわずかに隆起します。
花期は6~7月、枝先に5~16㌢の大形円錐花序をだして、白色の花を多数つけます。花冠は鐘形で、先端は5裂して反り返り、花冠の中に雌しべが1本、雄しべは5本で白い花糸が花冠からつき出ます。果実は核果で、長さ7~9㍉の楕円形~卵形、8~10月に赤くなって美しい景観をつくります。熟すと藍黒色になります。サンゴジュの名前の由来は、赤く実る赤い実が、珊瑚のように美しいことによるものとされています。サンゴジュの幹は太くならないため、木材の利用はほとんどなく、枝葉が密になり、塩害にも強いことから、海岸の近くでは防風垣などに利用されます。しかし、葉はサンゴジュハムシの食害をうけ、虫食い状態になりやすく、生垣や庭木に用いる場合には、サンゴジュハムシの駆除が必要になります。
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