江の島の植物・ヒメイワダレソウ
2024年07月20日 (坪倉兌雄)
ヒメイワダレソウ(姫岩垂草)Lippia canescsnsは、クマツヅラ科イワダレソウ属の匍匐性の多年草で、原産地は南アメリカ(ペルー)、わが国へは昭和の初期に渡来したとされています。江の島では広場の片隅、参道わき、龍野ヶ岡自然と森などの日当たりのよい場所に生育しています。茎は木質化して地を這うように伸び、節々から根を出しながら広がり、地面を覆います。葉は単葉で、5~10㌢に伸び出た茎に対生し、長さは5~20㍉の披針形~へら形、幅は3~7㍉、やや肉質で上部に鈍い鋸歯があります。花期は6~10月、葉腋より穂状花序をだし、上部に花を密につけます。花序の柄の長さは5~12㌢、その先端に直径3~4㍉の唇形の小花が多数球状に集まり、直径約1㌢に、上面は平で1個の花弁のように見え、小花のそれぞれの基部には緑色の苞があります。
小花の下唇は上唇のおよそ2倍で3裂し、喉部には黄色い斑紋があります。ヒメイワダレソウは常緑で花期は長く、密に地面を這って広がり、踏みつけにも強いことなどから、緑のグランドカバーとして用いられます。和名の由来はイワダレソウ(岩垂草)に似ているが、それより小さいことからら姫をつけてヒメイワダレソウ(姫岩垂草)になったとされています。
ヒメイワダレソウによく似たイワダレソウは、クマツヅラ科イワダレソウ属の多年草で、関東地方南部~四国、九州、沖縄の日当たりのよい海岸の砂地や岩場などに生え、茎の節から根を出しながら、へばりつくようにして生育します。ただ名前のように、岩に垂れ下がって生育することはありません。葉は倒卵形で質は厚く茎に対生し、長さは1~4㌢、幅0.5~1.8㌢に。花期は7~10月で、葉腋から10~20㌢の花径を出して円柱状の穂状花序をつけ、小さい紅紫色の花を多数つけて伸び上がります。
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