江の島の植物・アメリカノウゼンカズラ
2024年07月30日 (坪倉兌雄)
アメリカノウゼンカズラ(亜米利加凌霄花)Campsts radicansはノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属の落葉つる性木本で、原産は北アメリカ南東部とされ、大正時代末期に観賞用として、渡来したとされています。つる性植物で繁殖力が旺盛、土に根を張り枝から気根をだして、壁や樹木などの他ものに付着しながら伸び這い上がります。葉は奇数羽状複葉で対生し、長さは20~40㌢になります。小葉は長さ3~7㌢、幅2~4㌢の長卵形で7~17個つき、葉縁に粗い鋸歯があり、葉の先端は鋭く尖ります。葉の裏面は淡緑色で、主脈に沿って軟毛があります。花期は6~8月、枝先に円錐花序を上向きにつけ、細長い漏斗形の花を多数開きます。花は朱色で、花冠の長さは7~9㌢と長く、トランペット形になり、その先端は5裂に平開、それぞれの裂片は丸く反り返ります。雄しべは4個、雌しべは1個あります。萼筒は花の色とほぼ同じ朱色で5裂、裂片は尖ります(写真参照)。
果実は蒴果で細長い棒状、種子は扁平で円形、その両脇に翼がつきます。名前の由来は、アメリカ原産のノウゼンカズラを意味します。仲間のノウゼンカズラは中国原産で、わが国への渡来は平安時代とされ、凌霄花(りょうしょうか)と呼ばれていましたが、これが訛って「ノウショウ」に、さらに変じて「ノウゼン」となり、蔓状(かずら)であることから「ノウゼンカズラ」になったとされています(参考:語源辞典)。このノウゼンカズラ(Campsis grandiflora)の葉は奇数羽状複葉で、対生につき、小葉は卵形で2~6対、長さは3~7㌢、ふちに粗い鋸歯があります。アメリカノウゼンカズラとの違いは、ノウゼンカズラの花はラッパ状で、よこへ突き出るように開き(写真参照)、萼は緑色で切り込みが深くなります。一方、アメリカノウゼンカズラの花はトランペット形で、上向きにまとまって開き、萼は赤色~橙色で、切り込みが浅くて短いなど、これらの違いから見分けることができます。
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