江の島の植物・キツネノマゴ(狐の孫)
2024年08月20日 (坪倉兌雄)
キツネノマゴ(Justicia procumbens var. procumbens)はキツネノマゴ科キツネノマゴ属の1年草で、本州~九州にに分布し、野原や林縁、道ばたなどに生えます。江の島では参道わきや龍野ヶ岡広場などで、ごく普通に見ることができます。茎はまばらに枝分かれして伸び高さは10~40㌢に、6陵があり下向きの短毛が見られます。葉柄の長さは5~10㍉、葉は卵形~長楕円形で対生して長さ2~5㌢、幅1~2㌢に、縁は全縁で葉先はややとがり、両面に短毛があります。花期は8~10月、枝先に穂状花序をつけ、淡紅色の唇形の花を密につけます。花冠は淡色で長さは7~8㍉、筒部の長さはおよそ4㍉。下唇の内側は淡紅紫色で白色の斑紋があり、広楕円形で先端は3裂に、上唇は白色で三角状、長さは2㍉で先は小さく2裂します。
苞は線状披針形で、萼は深く5裂します。果実は蒴果で長さは5~6㍉に、熟すと2裂して4個の黒色の種子がはじき出ます。キツネノマゴには全草に薬効成分のリグナン(植物ポリフェノールの一種)を含み、生薬で爵牀(しゃくじょう)とよび解熱、腰痛、神経痛などに効果があるという(参考文献:薬になる植物図鑑)。和名の由来は、花穂が孫狐のしっぽに似る、などの説がありますが定かではありません。キツネノマゴ科の植物には、キツネノマゴ以外にハグロソウ、スズムシバナ、イセハナビ(中国原産)などがありますが、江の島には自生していません。
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