江の島の植物・アレチヌスビトハギ
2024年08月30日 (坪倉兌雄)
アレチヌスビトハギ(荒地盗人萩)Desmo-diau paniculatum は、マメ科ヌスビトハギ属の多年草で、北米原産の帰化植物、関東以西に多く分布するとされています。江の島では海辺の日当たりのよい草むらや、広場の片隅などで見ることができます。地下茎から伸びた茎には開出毛が多く、高さは50~100㌢になります。葉柄の長さは3~5㌢、葉は3小葉で両面に毛があり、裏面はやや白っぽく見え、頂小葉は側小葉よりやや大きくなります。葉の長さは5~10㌢、幅は1~4㌢の狭長卵形で、先端は尖ります。花期は8~9月、茎の先に円錐花序を、葉腋には総状花序をつけます。萼の長さはおよそ3㍉で、先は不同に4裂します。花は紅紫色の蝶形花で美しく、長さはおよそ8㍉に。果実は偏平で、下部が三角状にくびれで、3~6個の小節果になります。
小節果の表面に、かぎ状に曲がった毛が密生し、熟すと人の衣服や動物の毛などに付いて他所に運ばれます。名前の由来は、荒地に生えるヌスビトハギ(盗人萩)で、実の形を盗人の忍び足に見立てたものとされています。アレチヌスビトハギは北アメリカ東南部原産の帰化植物で、1940年に大阪で初めて採集されたとされ「生態系被害防止外来種リスト」掲載種です。
アレチヌスビトハギと同じマメ科の多年草にヌストハギがあり、日本全土に分布しています。葉は3出複葉で小葉は卵形。花期は7~9月、花は約4㍉で、アレチヌスビトハギの花より小さく蝶形花をまばらにつけます。小節果は2個です。
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