江の島の植物・オオムラサキツユクサ
2024年09月10日 (坪倉兌雄)
オオムラサキツユクサ(大紫露草)Tradescantia virginianaはツユクサ科ムラサキツユクサ属の常緑多年草で、北アメリカ東部原産の帰化植物、観賞用として植えられていたものが野生化し、現在では各地の林縁や路傍、畑地の隅などで普通に見ることができます。梅雨の時期には青色や紫色の美しい花を咲かせます。江の島では広場の片隅などで見ることができます。多数の茎が束生して直立し、草丈は40~60㌢に。葉は単葉で線状披針形、互生して長さは15~40㌢、幅1~2.5㌢で全縁、基部は鞘状で茎を抱きます。花期は5~10月、茎先の葉状苞の間から集散花序を出し、花序は2個の葉状苞に包まれます。花は朝開き夕方にしぼむ薄紫色の一日花で、花柄は紫色で長さは2~4㌢、萼片は長さ3~4㍉の薄緑色で3個あり、いずれも細い毛に覆われます。
花は青または紫色の3弁花で、径は3~4㌢に。雌しべは1個、雄しべは6個で葯は黄色、花糸は紫色で、同じ色の毛が密生します。果実は蒴果で約5㍉。名前の由来は、花が紫色で大きく、草姿がツユクサ(露草)に似ることによります。オオムラサキツユクサと同じ北アメリカ東部原産で、同属のムラサキツユクサ(紫露草)があり、道端や空き地などに野生化しています。両者の違いは、前者の萼片には毛が密生しますが、後者の萼片にはほとんど毛が無い、などの違いがあります。
ツユクサ(露草)は、北海道~沖縄に自生するツユクサ科ツユクサ属の一年草で、道端や人家の庭などで普通にみること ができます。高さは10~20㌢で、地面を這って分枝しながら増殖します。江の島の広場や参道わきなどで、その群落を見ることができます。葉は卵状披針形、二つの花弁が紫色でもう一つは白、オオムラサキツユクサとは花姿が異なります(写真参照)。ツユクサには薬効成分があり、生薬では鴨蹟草(おうせきしょう)とよび、解熱、下痢、湿疹やかぶれに効果があるとされています。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2024年09月10日