江の島の植物・ブラシノキ
2024年10月20日 (坪倉兌雄)
ブラシノキ(ブラシの木)Callistemon speciosusは、フトモモ科ブラシノキ属の常緑小高木で、原産地はオーストラリア。わが国へは明治中期に渡来し、暖地に栽培されています。江の島では、なぎさ駐車場前の広場やサムエル・コッキング苑などで見ることができます。樹皮は灰褐色で粗く裂け、高さは2~3㍍になります。枝は花序の先端から伸びます。葉は緑色の単葉で互生し、細長くてかたい革質、長さは5~10㌢になります。花期は5~6月、本年枝の先に多数の小花が、穂状に集まって咲き、小花の花弁5個と萼片5個は緑色、開花後すぐに脱落します。雌しべは1本で、雄しべより長く突き出ます。小花の雄しべは50本以上つき、花糸は赤色で長さは5~10㍉、葯は黄色でよく目立ちます。穂状花序の長さは5~10㌢で、花は洗浄用ブラシのような形になります。
花が終わると本年枝はさらに伸びて、偏平な球形の果実が多数、枝を取り巻くようにしてつき、この状態が2~3年続きますが、枯死または森林火災の際に、割れて種子を放出します。名前の由来は、花が瓶などを洗うブラシに似ることによります。花が美しいことから、別名で金宝樹(キンポウジュ)とも呼ばれ、学名のCallistemonはギリシャ語で「美しい雄しべ」を意味します。ブラシノキは庭木や公園樹としてよく植栽され、鉢植えや花材などにも用いられます。
サムエル・コッキング苑では、仲間のマキバブラシ(Callistemon rigidus)の花も、同時期に見ることができます。ブラシノキに比較して、マキバブラシの葉の幅はやや狭く、花糸の先端の葯もあまり目立ちません。また同苑にはブラシノキと同じフトモモ科の小高木で、南米原産のフェイジョアが数本あり、7~8月に白色の花弁と、紅色の長い雄しべが目立つ美しい花を咲かせます。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2024年10月20日