江の島の植物・セイタカアワダチソウ
2024年11月30日 (坪倉兌雄)
セイタカアワダチソウ(背高泡立草)Solidago altissimaは、キク科アキノキリンソウ属の多年草で、原産地は北アメリカ、日本に渡来したのは明治の頃とされています。長い地下茎をもち、日当たりのよい空き地や河川敷、休耕地や荒地などによく生育し、群落をつくります。江の島では広場の片隅や空き地、海辺などで見ることができます。茎は丈夫で分枝することなく、淡い褐色の短毛を密生して、高さは1~2㍍になります。葉は単葉で互生につき、長さ6~13㌢、幅1~2㌢の披針形で3脈が目立ちます。葉縁は全縁、または浅い凸凹があります。葉質は厚くて短毛があり、ややざらつきます。花期は9~11月、茎の先に長さ10~50㌢の大型の円錐花序をだし、黄色い頭花を枝の上部に多数つけます。
各枝の上側には多数の頭花がついて大型の円錐花序となり、花は雌性の舌状花と、両性の管状化花からなります。1個の頭花には筒状花が約5個、その外側に舌状花が10~18個あります。果実は痩果で冠毛があります。セイタカアワダチソウは過去に、花粉症の原因植物として嫌われていましたが、風媒花ではなく虫媒花であり、その心配はありません。晩秋の花の少ない時期には最高の蜜源となり、多くの昆虫たちが蜜を求めて群がっているのをよく見かけます。若芽は天ぷらなどにして食べることができます。茎や葉には薬効成分があり、ヨーロッパやアメリカでは民間薬として用いられ、生薬では「一枝黄花(いっしこうか)」と呼び、頭痛や腫物などに効果があるとされています。名前の由来は草丈が高く、黄色の小さな花が“泡立つ”ように見えることによるとされています。よく似た花に北米原産のオオアワダチソウ(大泡立草)があります。明治時代に輸入され、その後野生化したもので開花時期が7~8月と早く、花の上部が尖らないことなどからから見分けることができます。
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