江の島の植物・ウバメガシ
2025年01月10日 (坪倉兌雄)
ウバメガシ(姥目樫)Quercus phillyraeoidesは、ブナ科コナラ属の常緑低木~高木で、神奈川県以西~九州の太平洋側の山地などに生えます。雌雄同株。別名でウマメガシ(馬目樫)とも呼ばれています。江の島では北緑地の駐車場わきや、西緑地の海側では生け垣として植えられています。樹皮は黒褐色で滑らか、老木になると縦に浅い裂け目が入ります。よく枝分かれして、高さは3~5㍍になります。葉は互生し、葉柄の長さは約5㍉、葉は革質で表面はやや光沢があり、裏面は淡緑色、長さ3~6㌢の広楕円形、基部は円形で先端は鈍頭、上部のふちに波状の鋸歯があります。花期は4~5月で、新葉の展開と同時に開花し、本年枝の下部に2~2.5㌢の雄花序を多数、房状に垂らします。花被は杯形で直径は約2.5㍉、雄しべは4~5個あります。
雌花は本年枝上部の葉腋に1~2個つき、花は直径1㍉の楕円形で花柱は3個あり、総苞に包まれています。果実は堅果で、一年目はごく小さくて目立ちませんが、越冬して翌年の秋には大きく成熟します。果実の長さは約2センチの卵形で、下部は椀形の殻斗に覆われます。殻斗には黄金色の毛が密生した鱗片が瓦重ね状に並びます。
名前の由来は、芽だしの色が姥の目に似ることから、ウバメガシ(姥目樫)の名がついたとされ、別名でウマメガシとも呼ばれています。常緑で潮風や乾燥にも強く、刈込にもよく耐えられることから庭木や生け垣などにもよく利用され、椎茸を栽培する榾木(ほたぎ)などにも使われます。材がかたく薪炭材として用いられますが、和歌山県で作られる白炭は備長炭と呼ばれ、高品質で火力が強く燃焼時間が長いことから、高級料理には欠かせないものとなっています。
【写真&文:坪倉 兌雄】
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2025年01月10日