江の島の植物・ヒメユズリハ
2025年02月20日 (坪倉兌雄)

ヒメユズリハ(姫譲葉)Daphniphylum teijismanniiはユズリハ科ユズリハ属の常緑高木で雌雄異株、東北以南の暖地、四国、九州、沖縄に生え、樹高は10㍍になります。江の島では神社境内などで見ることができます。樹皮は灰褐色で皮目が散在します。葉は枝先に集まって互生し、狭長楕円形で長さ6~15㌢、幅2~6㌢、革質で光沢のある緑色、裏面は黄緑色で両面とも無毛。側脈は8~10対あり、ふちは全縁で先端は尖ります。葉柄は緑色または赤色で、長さは1.5~5㌢に。花期は5月で、雌雄別株、前年枝の葉腋から4~6㌢の総状花序をだし、花はその上部に集まってつきますが、花に花弁はありません。雄花には長さ約3㍉の柄があり、長さ0.5㍉ぐらいの小さな萼片が3~6、雄しべが7~12個あります。雌花にも萼片が3~6個つきます。





子房は狭卵形で長さ約1.3㍉、柱頭は3~4個でそり返ります。核果の長さは8~9㍉の楕円形で、12月には黒く熟します。和名の由来はユズリハの仲間で、葉が小さいことから姫をつけたもので、ユズリハ(譲葉)は、春先に新芽がでると古い葉は席を譲かのように落葉するのでこの名があります。ヒメユズリハはユズリハと同様に、庭木、公園樹、防潮樹として植栽されますが、代を譲る縁起のよい樹として枝葉は正月の飾りにも用いられます。仲間のエゾユズリハ(蝦夷譲葉)は、北海道~日本海側の多雪地帯に生える常緑低木です。かつてこれらの仲間はトウダイグサ科でしたが、現在はAPG分類体系で新設された一科一属の植物グループになっています(参考文献:日本の樹木 山と渓谷社)
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