江の島の植物・ユズ
2025年02月28日 (坪倉兌雄)

ユズ(柚子・柚酸)Citrus junos はミカン科ミカン属の常緑小高木。原産地は中国で、8世紀頃に朝鮮半島を経由してわが国へ渡来し、東北以南の各地に植えられ、山口県や高知県などでは野生化したユズの木が見られます。幹は直立して樹高は4~6㍍になり、葉腋に刺があります。葉は互生し長さ6~10㌢、幅4~6㌢の卵状楕円形、革質で先端は尖り、基部は円形、葉縁には波状の浅い鋸歯があります。葉は内側(主脈側)に浅くそり、表面には腺点があります。葉を捩じ切ると強い芳香があります。葉の表面は濃緑色で裏面は淡緑色。葉柄の長さは約2㌢で、広い翼があります。花期は4~5月、枝先の葉腋に直径約3㌢の白色の花を1個つけます。花弁は5個、雄しべはおよそ20本で、中央の雌しべを囲みます。





花後に緑色の果実を結びます。果実は直径4~7㌢の凸凹のある扁球形で、果皮は厚く内側は海綿状で袋は約10個、果肉には特有の香気があり、強い酸味があります。10月~翌年の2月には黄色に熟ます。名前の由来は、酸味が強いことからゆず(柚子)に、などの説があります。ユズは酸味が強くて生食には適しませんが、食用に加工して広く用いることができます。ビタミンCが豊富で、果皮には精油(リモネンやヘスペリジン)など、血流をよくする成分を含み、美容と健康に効果があるとされています。生薬では肩こり、神経痛、疲労回復、解熱などに効果があるとされ、果実を輪切りにして袋に入れて浴湯料にします。あかぎれ、しもやけなどには果汁を肌にすりこむようにして用います。
同じミカン科のレモン(檸檬)はユズに似ていますが、両者の違いは、レモンの葉の葉柄には翼が無く、花は総状花序で、花の蕾は赤紫色、開くと外側は淡紫色、また果実の先端が乳頭状につきでる、などの違いがあります。
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