江の島の植物・オリーブ
2025年03月10日 (坪倉兌雄)

オリーブ(橄欖)Oleall europaeaは、モクセイ科オリーブ属の常緑小高木~高木で、地中海沿岸で古くから栽培されており、日本への渡来は文久年間(1861~1864)とされています。樹高はふつう2~7㍍ですが、大きいものでは18㍍にも達します。わが国でオリーブといえばやはり香川県の小豆島、オリーブによる油や乳剤、軟膏基材、食用品など、各種の商品があり、島の名産物としてよく知られています。江の島では通路わきや住宅の庭先などに観賞用として、鉢植えや地植えされたオリーブを見ることができ、サムエル・コッキング苑にも地植えや鉢植えされたオリーブの木が数本あります。種から育てると、実がなるまで15年以上、挿し木では3~5年ぐらいかかるとされていますが、同じDNAの花粉では受粉しにくく、違った種類を近くに植えておくことがよいとされています。





樹皮は灰緑色で皮目が多数あります。葉は対生し、披針形で長さ2.5~6㌢、ふちは全縁で先端は尖ります。葉の表は暗緑色で、裏面は鱗状毛が密生して銀白色を呈します。花期は5~6月、前年枝の葉腋に長さ2~4㌢の円錐花序をつけ、黄白色の小さな花を開きます。花には芳香があり、花冠は直径6~7㍉で4深裂します。雄しべは2個あり、花糸の長さは約1㍉、葯は黄色く長さは約2㍉に、自家受粉を避けるためでしょうか、2個の雄しべが熟して花粉が散布された後に、花の中央部から雌しべが伸びてきます。花後についた果実の一部は落下しますが、残った果実の長さは1.2~4㌢の楕円形になり、緑色から黄色に変わり、10~11月には黒褐色に熟します。果実は塩漬けなどに加工し食用に、搾って採取したオリーブ油にはオレイン酸などが含まれ、血液中のコレステロール値を下げる効果があるとされます。現在は苗木が市販されており、手軽に手に入れることができます。また観葉植物として庭木や鉢植え、公園樹などにも用いられています。名前の由来は、英語名のoliveの直訳です。
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