江の島の植物・ノブドウ
2025年03月20日 (坪倉兌雄)

ノブドウ(野葡萄)Ampelopsis glandulosa var. heterophyllaはブドウ科ブドウ属の落葉つる性で、北海道、本州、四国、九州、沖縄の山野に生え、江の島では海辺や歩道、参道わきなどで、普通に見ることができます。茎は褐色~暗褐色で、節の部分は膨らみ木質になり、太いものは直径4㌢にもなります。つるはジグザグに曲がりながら長くのび、節は肥厚します。葉と対生して2分枝した巻きひげで他ものにからみつきます。葉は互生し、基部は心形、葉身の長さは8~11㌢、幅5~9㌢のほぼ円形で、3~5裂し、裂片の先端は尖り、ふちには粗く浅い鋸歯があります。裏面は淡緑色で、脈上に毛がまばらにあります。花期は7~8月、葉に対生して集散花序をだし、淡緑色の小さな花を多数開きます。





花は直径3~5㍉、花弁は5個で卵状三角形。雄しべは5個で雌しべは1個あります。果実は球形の液果で直径6~8㍉、淡緑色から碧色になります。種子の長さは約4㍉。果実にはブドウタマバエやブドウトガリバチの幼虫が寄生して虫えいをつくることが多く、異常にふくらんでいるものがあり食用にはなりません。しかしノブドウの茎葉や根にはフラボイドなどの薬効成分があるとされています。生薬では蛇葡萄(ジャホウトウ)、蛇葡根(ジャホウトウコン)と呼ばれ、茎葉は慢性腎炎などに、根は関節痛などに効用があるとされています。北関東から東北地方では、古くから民間伝承薬として肝臓病などにも用いられてきました。名前の由来は、野に生えるブドウで、野葡萄(ノブドウ)と呼ばれています。
江の島にはノブドウと同じブドウ科ブドウ属の仲間に、ヤマブドウ(山葡萄)、サンカクズル(三角蔓)、エビズル(蝦蔓)などが自生しており、これらの果実はいずれも食用になります。
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