湘南の魚と料理 No22 ”クロダイとスミイカ”
2024年3月27日 (Yano)
今年初の江の島フィッシャーマンズマルシェに行き(3月15日)、朝どれ(江の島沖の定置網から)の鮮魚販売で今が旬のクロダイとスミイカを購入しました。写真は黒ばかりでとても厳つい風貌ですが、共に食味は良く美味しかったです。

クロダイ:(黒鯛、関西ではチヌ)
海水性で内湾、汽水域や沿岸の岩礁地帯に生息。
生息域は北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、北海道〜九州南岸の太平洋沿岸、瀬戸内海。江の島周辺、又、境川などの汽水域でも数多く生息しています。
産卵期は春から夏。
クロダイは生態がとても興味深い魚です。産卵後小さな時期は総てがオスで満2年まではオスとして機能、3年目からは雌雄が分かれ、それぞれ成熟し産卵活動をするが、大きくなると多くがメスに分化する。
これはエネルギーの効率利用の為との説があります。小さいうちは質・量ともに良い卵子は出来にくくスペースも限られる為オスとして効率が良い。成熟すると出生確率を上げるの為、精子に対して数で圧倒的に劣る卵子を確保する目的でメスの数が増えるというもの。もっともらしいですね。
スミイカ:(墨烏賊)
海水生。水深10-100m前後の砂泥地。
富山湾・外房以南、瀬戸内海、有明海、東シナ海。
水深10メートルから100メートルの砂泥の底近くに棲息。湘南ではシラス漁の網にもよく入るようです。
早春から初夏に浅場に来て藻などに産卵、そして翌年春には成熟、産卵して死んでしまう。他のイカと同様寿命は1年。
大きく成長する春先が旬となります。すみの量が非常に多いことからスミイカと呼ばれる。
(参照:ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑)
今回のクロダイとスミイカ料理
クロダイは朝どれで鮮度が良く硬すぎる為、キレイに下処理をして3日間冷蔵庫においてから調理。スミイカはアニサキスの心配は少ないらしいが、一応冷凍(3日間)してから調理しました。

クロダイ刺身:
獲れてから4日目ということもあり、身はもっちりと柔らかく、品の良い旨味としつこくない脂がありとても美味しかったです。(目視でアニサキスなど要確認)
クロダイは雑食性で汽水域にも生息できることから、生息場所による食味への影響を心配しましたが、臭みなどは無く全くの杞憂でした。

スミイカ刺身:
記憶にあるスミイカの味そのものでした。ねっとりと柔らかい身に強い甘みがあり、塩を振りレモンをちょっと絞っただけで甘さが引き立ち美味でした。いつもの九州の醤油とわさびもおいしかったのですが。
反省点:材料処理の腕が悪く、表裏の薄皮をうまく取れなかった為、包丁で表面に細かい切れ込みを入れたことで少し食味を害しました。

スミイカとアスパラのオイスターソース炒め:
オリーブオイルでアスパラをソテー、スミイカを加えてさっと炒めた後オイスターソースで味付けをしました。
良い材料の組み合わせの為、当然美味しかったのですが、スミイカもアスパラも素材が良い甘みを持っており、さらに甘いオイスターソースはtoo muchだったかもしれません。次回は素材の旨味を生かす為にも、塩コショウと柑橘系のジュースで調理してみようと思います。

クロダイのポアレ:
皮がしっかりと厚く皮下脂肪がある魚でしたので、弱火でオリーブ油にニンニクの香りを移し、皮目を中火くらいで5-6分じっくりと焼きました。返して蓋をして身の方を2分ほど焼き、更に返して蓋を外し強火で皮目をパリッと仕上げました。フライパンに残ったオリーブ油にバター、レモン汁、醤油を加え少し煮詰めてソースをつくりました。
これは絶品でした。イメージ通りパリッと香ばしい皮と脂肪、しっとりと柔らかい白身がレモンバターソースにとてもよく合いました。

クロダイと野菜の蒸し物:
冷蔵庫に緑黄色野菜が沢山残っていたので、クロダイの蒸し物に挑戦しました。
まず、深めのフライパンに金属籠を乗せ(籠の底部と水を入れたフライパンの間に間隙を作る)即席の蒸し器をセットしました。蒸し籠に野菜を並べそのうえに皮を除いたクロダイの切り身を乗せて加熱をし、蒸気が上がり始めてから分ほどで完成です。
ソースはシンプルは味ポン酢、又ゴマ味のドレッシングで頂きました。クロダイの身は本当にふわふわと柔らかくすっきりとした良い味でした。又、水菜、もやしなどはシャキシャキと歯ざわりもよく、温かいサラダ感覚の料理となりました。あとフライパンに残った汁にはクロダイ・野菜のうまみがしっかり戻っているので塩コショウをしてスープとして頂きました。自画自賛ですが、さっぱりとヘルシーで良い料理になりました。
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