江の島の植物・タマナワザクラ
2025年04月04日 (坪倉兌雄)

タマナワザクラ(玉縄桜)Prunus×yedoensis “Tamanawa-zakura”は、バラ科サクラ属の園芸品種。神奈川県立大船フラワーセンターで、ソメイヨシノとオオカンザクラの自然交配によって生まれた桜で、平成2年(1990年)に「タマナワザクラ(玉縄桜)」として品種登録がなされています。名前は鎌倉市の玉縄地区にあることに由来し、樹高は3~10㍍。江の島では神社境内や広場、湘南港ヨットハウスの近くにある休憩棟の前などで、玉縄桜を見ることができます。開花は2月中旬、樹皮は赤褐色で横筋が見られます。ソメイヨシノにそっくりの花を散形花序に密集して開き、3月下旬まで咲き続け、美しい景観をつくります。花は両性花で白色に近い淡紅色、花弁は5枚で長さは約2㌢、花弁の先端に切れ込みが入ります。





玉縄桜の雄しべは27~30本、雌しべは1本で、長さはほぼ同じです。花柄や小花柄にソメイヨシノに見られるような細毛はありません。葉は単葉で互生し、葉柄の長さは1~2㌢。葉の基部は円形または楔形。葉身は長さ5~10㌢、幅2~4.5㌢、葉先は急に狭まって鋭く尖ります。葉質は柔らかく縁に細鋸歯があり、主脈は裏面に突出し、側脈は8~13対あります。
江の島では場所によって多少のずれがありますが、1月の中旬からカワズザクラ(河津桜)が咲き始め、2月の中頃には玉縄桜が開花して美しい景観をつくります。同時期に、梅や桃の花も開花することから、しばしば桜花と混同されることもあるので簡単な花の見分け方のポイントを紹介します。桜の花軸は長くて、花弁の先端に切れ込みが入る。梅の花には花軸が無く、花弁は丸くなる。桃の花軸は短く、花弁の先が尖る、これらの違いによって見分けることができます。江の島には、カワズサクラ、タマナワザクラの他に、カンヒザクラ、ヤマザクラ、オオシマザクラ、ソメイヨシノ、フゲンゾウ、シロタエ、ヤエベニシダレ、イチヨウ、フゲンゾウ、ショウゲツ、カンザンなど、多くの桜があり、4月末頃まで順次これらの桜花を楽しむことができます。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2025年04月04日