江の島の植物・ロドレイア・ヘンリー
2025年04月20日 (坪倉兌雄)

ロドレイア・ヘンリー(Rhodoleia henryi)はマンサク科ロドレイア属の常緑小低木~小高木で、原産地は中国南部、ベトナム、ビルマなどの東南アジアとされています。樹形や葉、花のつき方などがシャクナゲのそれに似ることから、別名でシャクナゲモドキ(石楠花擬)とも呼ばれています。花の少ない早春に赤い花を開き、ひときわ目立ちます。江の島ではサムエル・コッキング苑で見ることができます。幹は直立し、枝は横に張ります。葉は単葉で、互生して枝先に集ります。葉柄の長さは2~4.5㌢でやや赤みを帯びます。葉は緑色の厚い革質で光沢があり、裏面は灰色を呈し、主脈が目立ちます。基部は広い楔形。葉身は長さ7~13㌢、幅4~6㌢の卵形、全縁で先端は尖ります。花期は2~3月、枝先の葉腋から花弁状の総苞片に包まれた頭状花序を下向きに2~5個つけます。





花序は数個の小花からなりますが、外側にある小花だけがさらに発達し、淡紅色の花弁状になり、総苞片に包まれてまるでⅠ個の花に見えます。雄しべは多数あり、長さは花弁よりやや短く、花柱(雌しべの柱頭と子房との間の柱状部分)は細く、長さは雄しべとほぼ同じかやや短めです。花序を包む総苞片は円形で大小多数あり、褐色の毛に覆われます。果期は5~8月、果実は蒴果で卵球形、長さ1.3~2㌢。種子は扁平で黄褐色。ロドレイアの名は属名によるもので、別名のシャクナゲモドキは、樹形・葉・花の付き方などが石楠花に似ることによります。花が下向きに咲くので、見上げれば花の内部まで観賞することができます。耐寒性はやや低いとされていますが、関東以西の暖地では地植えが可能で、冬季でも緑色で艶のある葉を保ち美しい景観をつくります。病害虫には比較的強く庭木として、また鉢植えなどでも楽しむことができます。
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