藤澤浮世絵館展示 東海道中膝栗毛
江戸のコメディアン 弥次さん喜多さん
2025年6月3日(取材・記事:Tanbakk
藤澤浮世絵館で「東海道中膝栗毛 江戸のコメディアン 弥次さん喜多さん」が7月6日(日)まで開催されています。十返舎一九による『東海道中膝栗毛』は、江戸時代を代表するベストセラー作品です。主人公の弥次さん喜多さんの掛け合いによる珍道中は当時の庶民を大いに楽しませました。

今回の展示は、江戸時代後期の戯作者・十返舎一九の代表作『東海道中膝栗毛』や、主人公「弥次さん喜多さん」の人気から派生した『膝栗毛物』と呼ばれる版本や浮世絵が館内せましと展示されています。
それでは各コーナーの展示概要を写真とともに紹介しましょう。
◆東海道五十三次コーナー 「浮世絵にみる『東海道中膝栗毛』」
東海道五十三次コーナーは、十返舎一九作・画による『東海道中膝栗毛』と『続 膝栗毛』、歌川国貞(三代豊国)描く「弥次良兵衛」「喜多八」の浮世絵、仮名垣魯文作・落合芳幾画による「東海道中栗毛弥次馬 発端」、同じく落合芳幾の「五十三駅 東海道滑稽双六」などが展示されています。


「東海道五十三次之内 府中 喜多八」(左)
◆藤沢宿コーナー 「『膝栗毛物』とコンビが行く」
『東海道中膝栗毛』が人気を博したため、数多くの『膝栗毛物』が出版されました。藤沢宿コーナーでは、その中のコンビもの道中記『大山道中膝栗毛』『温泉土産 箱根草』を展示しています。また、十返舎一九作『江之島土産』『諸国道中金の草鞋』も展示されています。


◆江の島コーナー 「広がる。弥次喜多の世界」
十返舎一九が創り上げた「弥次喜多」は、文芸作品の登場人物から独立したキャラクターとなり、多くの浮世絵師に描かれました。江の島コーナーでは、落合芳幾、歌川広重、歌川芳員、歌川国貞(三代豊国)などの絵師が「弥次喜多の世界」を描いた浮世絵を展示しています。
下記の2つの作品は十返舎一九の『東海道中膝栗毛』に登場する有名な場面が描かれています。


◆企画コーナー 「さらに広がる。その後の弥次喜多」
企画コーナーは、幕末の万延元年(1860年)に制作された「東海道中栗毛弥次馬」シリーズに加えて、仮名垣魯文が明治初期に書いた『西洋道中膝栗毛』、藤川為信が大正時代に制作した『東海道名所膝栗毛画帖』が展示されています。

中央には『西洋道中膝栗毛』を展示。

絵を落合芳幾・三代歌川広重・河鍋暁斎が担当しています。
今回の展示では、江戸時代後期から明治時代初期にかけて出版された版本が数多く展示されていること、仮名垣魯文作・落合芳幾画による「東海道中栗毛弥次馬」全60点が展示されていることが大きなみどころであると思いました。
◆学芸員によるみどころ解説が6月22日(日)に行われます。
・開催日:6月22日(日)
・時 間:11:00~11:30/15:00~15:30(各回同一内容)
・場 所:藤澤浮世絵館 多目的室
・定 員:各回30人(当日先着順)
・参加費:無料

なお、藤澤浮世絵館の公式ホームページでは、展示作品の解説が展示期間中掲載されていますのでご覧いただければと思います。
藤澤浮世絵館公式ホームページ⇒こちら
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 ☑ 2025年5月30日