江の島の植物・ヤマウド
2025年06月10日 (坪倉兌雄)

ヤマウド(山独活)Aralia cordataはウコギ科タラノキ属の大形多年草で、北海道~九州に分布し、各地の山野に自生し、また栽培もされています。江の島では西側の海辺や神社境内の山側、龍野ヶ丘広場などに自生しています。草姿は大きく、高さが1~1.5㍍にもなり、茎は太くて短毛が密生します。葉は大形の広い三角状で葉柄は長く、まばらに互生して水平に広がり、大きな2回羽状複葉になります。小葉は卵形~長楕円形で先端は尖り、長さは5~30㌢、幅3~20㌢で、縁に細鋸歯があり、葉の両面には短毛があります。花期は8~9月、雌雄異株で、茎の先や上部の葉腋から伸びた長い花軸に大形の散形花序をつけ、淡緑色の小さな花を多数つけます。花の径は約3㍉で花弁は5枚。液果は球形で径は約3㍉に、黒紫色に熟します。





ウドの若芽や若葉、茎、はその独特の味と風味が好まれ、春の山菜として古くから食用にされてきました。天ぷらや和え物などの食材として、春の香りを楽しむことができるこの独特の苦みと香りは、根茎に含まれる精油で、リモネンやミルセンなどによるとされています。店頭で売られている食用の白い「ウド」は、室で軟化栽培されたものです。軟化栽培とはネギやアスパラガスなどの野菜類を、日光が当たるのを防ぎ、茎葉を白く軟らかく保つ栽培法で、軟白栽培ともいいます。ヤマウドには薬効成分があり、生薬では和独活(わどっかつ)といい、頭痛、解熱、神経痛やリュウマチ、打ち身などに、また根茎に含まれる成分は、血液の循環をよくし疲労回復などに効果があるとされています。名前の由来は、風がないのに葉が独りで動くように見えることから独活(ウド)に、などの諸説があります。
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