江の島の植物・マキバブラシノキ
2025年07月30日 (坪倉兌雄)

マキバブラシノキ(槙葉ブラシノキ)Callistemon rigidusはフトモモ科ブラッシノキ属の常緑低木~小高木で、原産地はオーストラリア東部、カリステモンと呼ばれ、海岸などのやや湿った場所に生育します。我が国への渡来は明治末期とされ、半耐寒性があり、庭木や公園樹などに用いられています。江の島ではサムエル・コッキング苑などで見ることができます。樹皮は褐色~灰褐色で、細長い縦筋があり、樹高は2~3㍍に。葉柄の長さは0.1~0.2㌢、葉は互生し、長さ3~10㌢の線形~披針形で、幅は2~4㍉、硬い革質で、両端は尖ります。花は両性花で、蕾は萼片に包まれて当年枝の枝先につきます。開花は5月~7月、濃赤色の雄しべが多数密集して10~12㌢の穂状(すいじょう)花序となり、全体が洗瓶用のブラシに見えます。





花弁は小さく緑色で5裂し、開花後に萼と共に脱落します。雌しべは1本で、雄しべの花糸(雄しべの葯を保持する柄)は多数あり、開花前は萼片に包まれて折りかたまった状態ですが、萼の脱落とともに伸びそろい、洗瓶用のブラシ状になり、その先端に黄色い葯がつきます。花後につく果実は蒴果で、枝の周囲を取り巻くように着き、数年間枝上に残ります。原産地では極端な乾燥や山火事のときなどに実が割れて、種子は風などによって散布されます。
名前の由来は「葉が槙のそれに似て細長く、花が洗瓶用のブラシに似ることから」とされています。仲間のブラシノキ(Callistemon speciosus)は、雄しべの先に金色の小さな玉がついているように見えることから識別できます。いずれも花は赤くてよく目立ち、庭木や庭園樹、鉢植え、切り花などに用いられています。
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