江の島の植物・アカンサス
2025年08月10日 (坪倉兌雄)

アカンサス(Acanthus mollis)はキツネノマゴ科アザミ属の大型の多年草で、原産地は地中海沿岸とされ、我が国へは明治末期~大正時代に渡来したとされています。葉は大型の披針形で光沢があり、葉縁(葉身の周縁部)は羽状に深裂します。古代ギリシャ及びローマ建築の柱頭に飾られた彫刻は、アカンサスの葉を図案化したものとされ、花はギリシャの国花となっています。江の島では、サムエル・コッキング苑でアカンサスの花を見ることができます。大形の多年草で、花茎を含めた草丈は30~180㌢に、地下に太い根を張ります。開花の時期には、数本の花茎を立ち上げて美しい景観をつくります。葉の長さは50~60㌢、幅25~30㌢と大形で、葉縁は羽状に深く裂け、裂片の先は尖ります。葉の表面には光沢があります。





アカンサスの葉の形は、キク科のノアザミに似ていますが、ノアザミのような刺はなく手で触れても痛みはありません。花期は5~8月、ロゼットから花茎を直立し、長さ30~40㌢の穂状花序に、白色~淡紫色で唇形の花を上に向かって咲き上げます。花は緑色の3個の苞に包まれるようにしてつき、中央の苞は他の2個の苞よりやや大きく、縁に刺状の切れ込みがあります。苞の上部にある萼片の長さは約4㌢で、苞の下部にある萼片は約3㌢、いずれも褐色を帯びています。雄しべの長さは2~2.5㌢で4本あり、雌しべを取り囲みます。雌しべは1本で花柱の長さは約3㌢、柱頭は2裂に。果実は淡黄色の蒴果、長さ約3㌢で萼と苞の間につき、熟すと裂開して種子を放出します。学名のアカンサス(Acanthus)名はギリシャ語の「とげ」に由来します。和名では葉がキク科のノアザミに似ることから、ハアザミ「葉薊」とも呼ばれています。
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