江の島の植物・ハマボウ
2025年08月30日 (坪倉兌雄)

ハマボウ(浜朴)Hibiscus hamaboはアオイ科フヨウ属の落葉低木で、関東地方南東部以西から四国・九州の暖地の海岸などに自生する塩生植物です。江の島では北緑地・駐車場前の広場などに植栽されています。幹からよく枝分かれして樹高は1~3㍍になります。樹皮は帯緑灰色で、若い枝には灰色の星状毛が密生して白っぽく見えます。葉は互生し、葉柄の長さは1~3㌢、葉身は長さ3~7㌢の倒卵状円形、葉質はやや厚く先端 は短く尖り、葉縁には細かい鋸歯があります。基部は浅い心形で、起点から掌状脈が伸びます。葉の表面には灰白色のかたい毛が散生し、裏面には密生して白っぽく見えます。花期は7~8月、枝先の葉腋に直径5~7㌢の淡黄色の花を1~2個開きます。





花弁は5個でらせん状に並び、長さは4~5㌢の倒卵形で花冠基部は暗赤色に。雄しべは多数あり、花糸は雌しべの周りを取り囲むように合着して筒状になります。花柱(雌しべの柱頭と子房との間の柱状の部分)の先端は5裂に、柱頭は頭状で暗紅色を呈します。萼は鐘形で5裂し、萼の外側には細かい毛が密生した小苞が10個あり、その下部は合着しています。蒴果は卵形で長さ約3㌢に、その先端は尖ります。熟すと5裂して腎形の種子を多数だします。名前は「浜に生えるホオノキを意味する」などの説がありますが、定かではありません。
小笠原諸島の山地には、小笠原群島の固有種であるフヨウ属のテリハハマボウが自生し、三日月山や森林生態保護地域、歩道わきなどでも見ることができました。樹高は3~10㍍以上になり、葉は緑色で厚く艶があり、ふちは全縁で葉の先端は尖ります。花は一日花で黄色から赤色に変化します(写真は11月下旬に撮影)。また海岸付近などに自生する、オオハマボウ(カイガンイチビ)の開花は6~7月、今回の旅で花を見ることはできませんでした。
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