特集：散歩で見かける野鳥

■■■ 野鳥は50音順に紹介しています ■■■

アオサギ

羽の色が灰色を帯びた青色なので「蒼鷺(あおさぎ)」。蒼(あお）は、「顔面蒼白」などというように、青白いさまをいいます。英語もＧrey Ｈeron（灰色の鷺）です。シラサギより大きく日本のサギの類の中では一番大きい。飛び立つとき「グアー」と大きな声で鳴き、翼が大きくなかなか迫力があります。

イソシギ

西行法師が湘南で詠んだ歌
「心なき　身にも　あわれは　知られけり　鴫たつ澤の　秋の夕暮れ」（山家集）
の鴫（しぎ）はイソシギといわれます。英語はsandpiper（管楽器奏者）で縦笛でも吹いているような長いくちばしをしています。胸側に白い切れ込みがあるのが特長です。

イソヒヨドリ

「磯にいるヒヨドリような鳥」ということですが、ヒヨドリ科ではなくヒタキ科の鳥です。最近は、磯ではなく、ビル街や住宅街にも進出している。オスは、羽が青と赤で美しく、鳴き声も美しい。幸せな青い鳥ともいわれます。

オオバン

バンという和名は、田んぼに住み鳴き声が鋭く大きいので、外敵から田を「守り番」をする鳥という意味だといわれます。おでこが白いのがオオバン、赤いのがバン。オオバンは足指が長く異様な足の大きさに驚かされます。足指に水かきがついていて「弁足」とよばれます。よく潜水して藻を採食します。

オカヨシガモ

オカヨシガモは、カモ類では雄が地味なことが特長だといわれます。（オカヨシガモの他にヨシガモがいますが、こちらはナポレオンハットと呼ばれる派手な頭部をしています）。
逆立ちをして水底の餌を食べるのが得意で、その際、黒い尾羽がよく目立つため、「黒パンツ」はいているように見えます。

オナガ

オナガは、尾羽が長いから「尾長」です。カラスの仲間で、似た鳥にカササギがいます。オナガの英語名は「Azure-winged Magoie」（青色の翼のカササギ）といわれます。カササギは、日本の西、オナガは東に多いようです。

ガビチョウ

ガビチョウは「画眉鳥」と書き、目の周りにある白い眉状の模様が特長です。美しく囀りますが、あまりにも大声なので、騒音の害鳥とみなされがちです。侵略的外来種として警戒されています。
英語名ではMelodious Larghing Thrush（笑うように鳴く鳥）で、ガビチョウの美しい鳴き声に由来しています。

カルガモ

カルガモは春、水辺の近くの草むらに巣を作り産卵し、孵化すると親鳥が水辺に導きます。メスだけで子育てをし、孵化したヒナは直ぐ自分で歩き始めます。カルガモは、くちばしが黒く先が黄色なのが特長です。他の鴨は冬鳥ですが、カルガモは留鳥です。夏留まる鴨、「夏留鴨（かるがも）」が名の由来という説もあります。

カワウ

鵜には、ウミウ、カワウがありますが、鵜飼に使われるのはウミウです。鵜の魚を丸のみにする鵜の習性を利用した漁の方法です。
鵜は、中国ではペリカンの意味で、英語cormorantで「どん欲な人」という意味があるようです。また、海のカラスという意味もあるようで、烏(カラス）の音読み「ウ」が鵜の呼び名になったとも言われます。

カワセミ

青い鳥を意味する古語「青土：そに・そび」が「セミ」へと変化したといわれます。川にいる青い鳥という意味のようです。またカワセミの羽色が、翡翠（ヒスイ）に似ているから、「翡翠」と漢字表記されます。
おなじみ藤沢市の鳥です。

カワラヒワ

ヒワは漢字で「鶸」（弱い鳥）と書きますから「ひわやか」な可憐な小鳥という意味です。カワラヒワは、文字通り河原や田んぼでよく見かけます。スズメより少し細めで嘴が円錐形をしています。大きい種を割って食べるのに適しています。ひまわりの種を好みます。

キジ

古名の「きぎす」（ギーギーと鳴く「ス（鳥の接尾語）」）が略されてキジになったといわれます。また漢字の「雉」は「矢のように飛ぶ鳥（隹）」という意味ですが、キジは飛ぶのはあまり得意ではなく、「矢は直線状に数十Ｍ飛んで落ちる」という少し無様（ぶざま）な飛び方という意味合いがあります。

キジバト

キジバトは、かつてはヤマバトと呼ばれていました。体の模様がキジに似ていることから命名されました。
「オスのさえずりはかなり特徴があり、デーデーポッポー」とくりかえします。。

コガモ

コガモは、一番小さい鴨で（ハトくらい）、オスは黒いくちばしで、赤茶と緑のマスクをかぶったような頭部で目の上下に白線がああります。鳴き声も「ピュリッ　ピュリッ」と可愛い声を出します。

コサギ

白鷺は、その大きさで、コサギ（小）、チュウサギ（中）、ダイサギ（大）の3種あります。サギの語源は、美しい白い姿から「さやけし」（清々しい、美しい）に由来するといわれます。白露のように透明な羽をしているので（路＋鳥）で鷺といわれるようになったという説もあります。

コジュケイ

小綬鶏と書きます。名前は、中国にいる「綬鶏」に似ていてより小型であることによるそうです。コジュケイは、「ちょっとこい、ちょっとこい」の聞きなし（鳴き声をそれに似た言葉に置き換えてきくこと）で知られます。よく通る声で鳴きますが、鶯と同じく危険を感ずるとすぐ引っ込んでしまうため、姿がなかなか見られません。キジの仲間ですがしっぽが短くキジバトみたいです。

シジュウガラ

シジュウは「シジュシジュ」と聞こえる声で「カラ」は小鳥を意味する古語。黒いネクタイの模様がトレードマークです。ＮHKの「ダーウィンがきた」でシジュウガラの音声コミュニケーションが紹介され注目を集めました。沢山の言葉を持っていて、その行動観察から鳴き声の意味が分かるそうです。例えば、ヒーヒー：ハイタカ、ジャージャー：ヘビ、ピーツピ：警戒しろ、ヂヂヂヂ：集まれ　など

ジョウビタキ

ジョウはおじいさんを意味する「尉（じょう）」で、頭の白銀色を老人の白髪になぞらえたといわれます「
ヒタキは、「ヒッヒッ」と鳴きますが、火打石の音に似ていることから「火焚キ」（ヒタキ）といわれるようになりました。また羽に白版があるので紋付鳥ともいわれます。

チョウゲンボウ

チョウゲンボウがホバリングをすることから,トンボの方言「ゲンザンボウ」が変化したという説があります。
チョウゲンボウなど猛禽類の視力は、紫外線を識別できるため、主食である齧歯類の尿が反射する紫外線をとらえ捕食を容易にさせるといわれます。美しい尾羽をして、どう猛な感じはなく愛すべき野鳥です。

ツグミ

木の実をつつくようにして食べることから「突く実」の説があります。
毎年9月頃から冬鳥として渡来し翌3～５月頃シベリヤの方へ帰ります。
冬の間は非繁殖期で鳴かずに口をつぐんでいることから「ツグム」の和名になったともいわれます。

ツバメ

ツバクラメの短縮形で、鳴き声（チュバ）クラメ（小鳥を意味する古語）。
「チュピチュピジリリリチビー」（虫食っって土食って渋ーい」という「聞きなし」があります。
ツバメは英語でSwallow（飲み込む）で、ツバメが捕らえた虫を飲み込んだり、大きく口を開けた子燕が餌を飲み込んで食べることからつけられたと考えられます。

ドバト（カワラバト）

伝令用や食用として古くから利用されてきたカワラバトが野生化したものをドバトといいいます。漢字の鳩の九は鳴き声（クック）からきています。
ハトはビジョンミルクで育てるため一度に多くの雛は育てられませんが繁殖回数は多い。（ビジョンミルクとは、鳩は哺乳類の母乳に似た、素嚢乳（食道の一部である素嚢から出す）のこと。）

トビ

優れた飛翔力から、「飛び」という言葉が語源になったといわれます。
英語ではBlack kiteといいます。凧のような鳥という意味でしょうか。上昇気流を利用して輪を描いて滑空し羽搏くことが少ない。視力が非常に優れています。猛禽類（タカ科）に属しますが、鷹や鷲と異なり、腐肉食で、動物や魚の死骸を食べ、生きたものは、カエル、トカゲなどの小動物を捕食します。

ハッカチョウ（八哥鳥）

ハッカチョウ（八哥鳥）は、ムクドリによく似た小さなカラスのような鳥です。全身黒色で頭部前方に冠羽があります。小九官鳥ともいわれ、物まねをする習性があるようです。中国、インドシナが原産で,江戸時代に輸入され、八哥鳥に哥（うた）の字があるように、さえずりが美しく、羽を広げると、八の字に見える白い模様が末広がりでおめでたい鳥と好まれたようです。

ヒバリ

晴れた日に飛びながら囀るから「日晴（ひばり）」。どこまでも高く飛ぶ姿を表すのが日本語の「雲雀」です。
中国では「告天子」（皇帝に天候を告げる鳥）といわれます。

ヒヨドリ

「ひ―よひーよ」と鳴く声が、ひよどりの和名の由来です。留鳥ですが、秋の渡りの時には、大群になり、藤沢でも近くの餌場を求めて、江ノ島島内へ群れで移動しています。ひよどりは、日本列島や朝鮮半島など東アジアのきわめて限られた地域にしか生息しない日本準固有種です。

ホオジロ

頬が白いから名づけられたといわれます。

ホウジロといえば、「一筆啓上仕り候（いっぴつけいじょうつかまつりそうろう）」の「聞きなし」が有名で、元気のいい鳴き声をしています。比較的人を恐れないところがあり、親しみのある可愛い鳥です。

マガモ

カモには、マガモ、コガモ、カルガモが一般的ですが、マガモは鴨を代表するという意味で「真」がついて「真鴨」といわれるようになったそうです。オスは、緑色の美しい頭部をしています。

ムクドリ

椋の樹の洞に好んで営巣し、その身を食べることから名づけられたといわれます。「群れ来る鳥」が転訛したともいわれるように、夕方、街路樹に大きな集団ねぐらを作り市民を困らせています。

英語では、White-cheeked Starling(白い頬のムクドリ類）です。

メジロ

メジロの名は、目の周りに白いアイリングがあることにちなみます。漢字では「目白」、英語では,White-eyeです。「梅にウグイス」といわれるように、ウグイスはメジロと混同されます。鶯は姿が地味で藪からなかなかでてきませんが、鳴き声が美しくよく聞こえます。それに対し、メジロはきれい鶯色の羽をして、花蜜を好んでよく姿を現します。

モズ

他の鳥の鳴き声をまねる習性から百舌鳥（「モ」は百で「ス」は鳥を示す接尾語）といわれます。モズの高音（たかね）といわれるように、秋になると鋭く鳴いて縄張りを宣言します。冬、バッタやカエルなど獲物を枝に刺して保存する「早贄（はやにえ）の習性もあります。「百舌勘定」（勘定を人に出させて自分は出さない）という慣用句があるように、「ずるがしこい」印象もあるようです。

ユリカモメ

入り江に多いことから「入江鴎」が転訛したという説があります。また、ササユリやテッポウユリのように白いきれいな鴎という意味もあるようです。
日本の古典文学（例えば伊勢物語）では、ユリカモメが「都鳥」といわれていたようです。現在は、東京都の都の鳥に指定されています。