江の島の植物・ヒペリカム
2025年10月20日 (坪倉兌雄)

ヒペリカム・アンドロサエマム(Hypericum androsaemum)はヨーロッパ原産のオトギリソウ科オトギリソウ属の半落葉小低木で、樹高は50~100㌢。樹皮は褐色で滑らかです。江の島では「江の島大師」の境内に数本のヒペリカムが育ち、開花時期には緑の葉と赤い果実のコントラストが実によく、美しい景観をつくります。茎は褐色でよく分枝し、枝には稜があります。葉は単葉で基部が広い卵状長楕円形で全縁、長さ4~6㌢で対生につき、葉柄はありません。開花期間は6~7月で、3~8個の花を集散花序につけます。花は黄色の五弁花で平開し、花冠から飛び出た細長い多数の雄しべがよく目立ちます。萼片は5個、子房上位で、花冠の基部が肥大すると花弁は落下し、雌しべの柱頭は3裂に。果実の色は赤、紫、黒へと変化します。





江の島では、オトギリソウ属のキンシバイHypericum patulumと、ビョウヤナギHypericum monogynumを見ることができます。いずれも中国南部原産の半常緑低木で、枝は細く株立ちしてよく分岐し、高さは約1㍍になり、枝の先端は垂れ下がります。葉はいずれも単葉です。キンシバイの葉は平面対生につき長さは2~4㌢の長卵状楕円形、葉の基部がやや広くなります。ビョウヤナギの葉身は長さ5~8㌢の長楕円形、幅は狭く1~2㌢で十字対生します。葉質は両方ともやや薄く、表面は緑色で裏面は白緑を呈し、透明な腺点が点在します。花期はいずれも6~7月、垂れた枝先に集散花序をだし、黄色い花をうつむき加減につけます。キンシバイの花弁はカップ状で小さく直径3~4㌢、短い多数の雄しべが5つの束になり子房を囲みます。ビョウヤナギの花冠は4~6㌢で広角に開き、雄しべは長く伸びてよく目立ちます。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2025年10月20日












