江の島の植物・キダチチョウセンアサガオ
2025年11月30日 (坪倉兌雄)

キダチチョウセンアサガオ(木立朝鮮朝顔)Brugmansia suaveolensはナス科アサガオ属の常緑の灌木~低木で、原産地は中南米(ブラジル、ペルー、ボリビアなど)とされています。和名「朝鮮朝顔」の由来は不明ですが、花の形がトランペットに似ることから、エンジェルトランペットとも呼ばれています。我が国への渡来は明治末期とされ、観賞用として広く栽培されています。江の島では江の島大師の境内やサムエル・コッキング苑などでも見ることができます。樹皮は灰褐色で皮目があり、よく分枝し、樹高は3~5㍍になります。葉は互生し、大小不揃いの長楕円形で、葉縁には不揃いの鋸歯があり、長さ23㌢以下で、葉先は尖り、葉の裏面は葉脈が目立ちます。葉柄の長さは4~6㌢。花期は7~11月、萼の先端が開き花弁が出ます。花冠は朝顔型の漏斗状で長さは20~30㌢、下向きに下がってつきます。





江の島では白色や淡黄色の花を見ることができます。花冠の基部にある萼は筒状で、その先端は浅く4~5裂します。花は淡黄色から淡紅色に変化し、花冠の先は5裂してその先端は尖り、やや外側に反転するものもあります。雄しべは5個で柱頭を囲み、葯は柱頭より下につきます。果実は蒴果で長さ10~15㌢に、種子は扁平で多数あります。キダチチョウセンアサガオや、草本のチョウセンアサガオ(Datura metel)の根・葉・果実・種子など、全体に毒性のアルカロイド類を含み誤食すると嘔吐・痙攣・呼吸困難など症状が出るとされています。観賞用に庭先や鉢植えなどにする場合、食用にしないよう周知徹底する必要があります。チョウセンアサガオは、インド原産の一年草で花は上向きに咲きます。江戸時代前期に薬用として我が国に導入され、江戸後期の外科医・華岡青洲(1760~1835)は、このチョウセンアサガオから麻酔剤を案出し、日本で初の全身麻酔による手術に成功しました。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。 2025年11月30日












