鳥瞰図の系譜藤澤浮世絵館の新しい展示「空から見る相模と日本 鳥瞰図の系譜」が始まりました。
空から見る相模と日本 鳥瞰図の系譜
2018年6月29日(取材・記事:Tanbakko)
藤澤浮世絵館の新しい展示「空から見る相模と日本 鳥瞰図の系譜」が始まりました。会期中に作品の入れ替えがありますが(7月31日)、9月2日まで展示されます。
大正広重と異名をとった近代日本の観光絵図の大家である吉田初三郎の鳥瞰図や、明治の文明開化期を描いた三代歌川広重の「東海名所 改正道中記」などが展示されています。
大正広重と異名をとった近代日本の観光絵図の大家である吉田初三郎の鳥瞰図や、明治の文明開化期を描いた三代歌川広重の「東海名所 改正道中記」などが展示されています。
企画展示コーナーの展示 吉田初三郎の日本全国の鳥瞰図が展示されています
企画展示コーナーは、大正広重と異名をとった近代日本の観光絵図の大家である吉田初三郎の鳥瞰図を中心に展示しています。
吉田初三郎は、当初は洋画家を志しますが、師の助言で鳥瞰図作成に方向転換しました。日本全国の名所を鳥瞰図として描き、大正から昭和初期の観光ブームで人気を博しました。初三郎の描いた鳥瞰図は1600点以上と云われています。
今回の展示では相模地域の鳥瞰図をはじめとして、南は九州鹿児島から北は北海道・小樽、さらに大連など海外に至るまでの鳥瞰図21点を展示しています。また、吉田初三郎鳥瞰図の複製品が自由に手に取って見ることもできます。
吉田初三郎の鳥瞰図 「湘南電鉄沿線名所図解会」と「横浜市鳥瞰図」
藤沢宿コーナーでは、歌川貞秀の鳥瞰図が展示されています。歌川貞秀は江戸時代後期から明治時代初期にかけての浮世絵師で鳥瞰図を得意としていました。「空飛ぶ浮世絵師」とも呼ばれています。
「東海道名所の内 ふちさわ 遊行寺」や「三国第一山之図(富士山真景)」など5点を展示しています。企画展示コーナーにも歌川貞秀の「富士山真景全図」が展示されています。
歌川貞秀「三国第一山之図(富士山真景)」
今回の展示のもう一つの見どころは、三代歌川広重が描く「東海名所 改正道中記」19点の展示です。文明開化期の東海道を描いた作品で、時代の変革期における各宿場の様子が描かれています。
なお、会期中に作品の入れ替えがあり、7月31日(火)から新しい19点が展示されます。
三代歌川広重の描いた文明開化期の東海道。左が「東海名所 改正道中記 六 程ヶ谷」、右が「東海名所改正道中記 五十八 西京」です。西京とは京都のことです。
三代歌川広重描く「流行車づくし廻双六」(右側)
三代歌川広重描く「流行車づくし廻双六」の拡大図
江の島コーナーは「金沢・鎌倉・江の島観光コース」をテーマに、幕末~明治期にかけての鎌倉・江の島関連の浮世絵や当時地元で制作販売された絵地図類が展示されています。
今年は明治150年です。明治の文明開化期に描かれた日本各地の変化や風俗など、見どころ満載の展示となっていると思いました。
●学芸員による見どころ解説が8月5日(日)に行われます。
・日時:2018年8月5日(日)11:00~/16:00~ 2回開催(30分程度)
・会場:藤澤浮世絵館
・定員:各回40名(当日先着順) ※申込不要・参加費無料
なお、藤澤浮世絵館の公式ホームページ(下記)では、展示作品の解説を掲載しています。あわせてご覧ください。
http://fujisawa-ukiyoekan.net/collections/top.html
※浮世絵の画像はチラシをスキャンするか、学芸員による見どころ解説での画像を撮影して掲載しました。不鮮明なところがありますが、ご容赦願います。実物は是非藤澤浮世絵館でご覧ください。
2018年06月29日